貝殻の音 | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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 人気がない浜辺を歩いていて巻貝が落ちていたので私は近付いて片手で拾い上げてみた。中身がないようで軽かった。乾いていて水も入っていないようだった。私は表面の砂を払い、そっと耳に当ててみた。

 波の音の向こう側から薄らと聞こえてくる音があった。それは確かに波とは異なる響きで、人間の囁きであるかのように聞こえた。言葉の内容までは明瞭にはならなかったが、とても楽しそうだった。声は複数あった。それらの声がなんとなく懐かしく感じられたので私は何を話し合っているのだろうかと考えながら誰もいない砂浜でしばらく耳を澄ませていた。


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