違う日付け | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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 女の声が聞こえてきたので意識が覚醒した。そういえば、休日の昼下がりに居間のソファに寝転がって本を読みながらラジオを聴いていたのだったと私は思い出した。いつの間にか、うたた寝をしていたようだった。

 何時になっただろうかと気になったが、私はひどく気怠い気持ちになっていて目を開けられなかった。今日は何も予定がなかった。私はまだしばらくは眠っていたいと感じていた。しかし、女の声がうるさいので意識は現実世界に留まっていた。

 女はニュースを伝えていた。幾つかの事件が知らされたが、私は自分にはまるで無関係であると感じていた。すべて遠い世界の出来事のようだと思われていて少しも興味を持てなかった。

 ニュースの途中で今日の日付けを間違えて伝えられたところで私は初めて女の発言に興味を抱いた。私の認識から数ヶ月も外れていた。最後までニュースに耳を傾けていたが、訂正はされなかった。私はひょっとして自分の認識が間違っているのかもしれないと思われて自信がなくなってきた。

 違和感のせいで私は気持ちが落ち着かなくなり、眠気がすっかり消し飛んだ。ニュースが終わると今度はゆったりとした曲調の音楽が放送された。私は瞼を開けてソファに座り直した。窓の方へ目を向けたが、そこからは青空が小さく見えているだけで季節がわからなかった。


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