夢を見た。テーブルに置いてある陶器製の皿の上に一切れショートケーキがあった。周りが暗いので室内の様子は何もわからないのだが、そのショートケーキははっきりと見えていた。
周りにいる誰かがショートケーキにフォークを突き刺した。暗闇から手が伸びてきたのだが、顔などは見えなかった。これから誰かがショートケーキを食べようとしているらしいと私は推察した。どうやら他人の為に用意されたケーキだったようだと私は理解した。
暗闇から次々と手が出てきてショートケーキにフォークを突き刺した。しかし、金属製のフォークをたくさん突き立てられてもケーキはまったく形が崩れなかった。
どうやら大勢の人々の為に用意されたケーキだったらしいと私は認識を改めた。すると、私もそのショートケーキにフォークを突き刺してみたくなった。自分の取り分はかなり少なくなるだろうと思ったが、どのような味なのだろうかと興味が湧いてきた。
しかし、私はフォークを持っていなかった。このままでは自分だけがそのショートケーキを食べられない羽目になりそうだと思い、私は焦燥感に駆られた。
関連作品
鶏の夢
間違っている地図の夢
傾くバケツの夢
読めない時計の夢
ラジオの夢
目次(超短編小説)