設計図が入っていた | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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 強盗に遭った女性と警察官が話し合っていた。

 「それで、奪われた鞄の中には何が入っていたのですか?」

 「設計図ですよ。この街の設計図です」

 「なるほど。この街の設計図が盗まれたのですか」

 「そうです。この街は設計図を失ったのですよ。あれが失われると街の今後の開発は出鱈目になります。いずれ道路はそこら中で途切れるようになり、街は誰も住めない構造になっていくはずです。或いは、あの設計図が街の外に持ち出されたとしたら同じ街が違う場所に生じるかもしれません」

 「新しい同じ街が生じるのですか」

 「その同じ街に移住しなければならなくなるかもしれません」

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