人形が入っていた | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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「目次(超短編)」から全作品を読んでいただけます。
短い物語ばかりですので、よろしくお願いします。

 強盗に遭った女性と警察官が話し合っていた。

 「それで、奪われた鞄の中には何が入っていたのですか?」

 「人形です。あの鞄の中には人形が入っていたのです」

 「どのような人形だったのですか?」

 「少女の人形でした。彼女の笑顔を見ていると私はいつでも幸せな気持ちになれました。だから、鞄に入れて肌身離さず持ち歩いていたのです。私はもう二度と笑えないかもしれません」

 「なるほど。大切な人形だったのですね。鞄には他に何か入っていたのですか?」

 「何も入っていません。あの鞄には人形だけが入っていたのです」


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