人形の女 | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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 「私は人形なのですよ」と女が言ったような気がした。女は椅子に座っていた。私は女が冗談を言っているのだと思った。しかし、面白くなかったので笑わなかった。

 どのように返事をしようかと考えて私が言葉に詰まっていると女は両手で自らの側頭部を掴んだ。ぷちぷちと音を立てながら首が千切れて頭が持ち上がった。切断面には白い綿が見えた。彼女の身体の中には血や肉がないようだった。よく見ると肌が布で出来ていた。髪は毛糸で目はボタンだった。

 人形の上半身がゆっくりと倒れて椅子から床に落ちた。そして、頭が取れたまま動かなくなった。その様子を見て私はどうしてこの人形が人間であると今まで勘違いできていたのだろうかと首を捻った。どこからどう見ても人形でしかなかった。

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