街道沿いの小さな茶屋で団子を食べている間に雨が降ってきた。かなり強い降り方で雷鳴まで響いていた。茶屋の中はひどく薄暗くなっていた。
「おい。占い師」と声を掛けられた。いつの間にか隣の席に一人の侍が座っていた。
今まで自分以外に客がいないとばかり思っていたので私は侍の存在に驚かされた。「すいません。私は占い師ではありません」と私は上擦った声で返事をした。
「お前は占い師だ。いいな?」と言って侍は凄んできた。「だから、これから俺が参加する暗殺計画が成功するかどうか占え」
暗殺という物騒な言葉を聞いて私は思わず悲鳴を漏らしそうになった。占いの仕方など知らないと思ったが、その侍が刀で誰かの首を斬っている光景が頭の中に浮かんできた。「成功しますよ」と私は血の気が引くように感じながら呟いた。
「そうか。その言葉を聞きたかった」と侍は言った。
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