侍との対話 | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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 真夜中に目が醒めた。夢の中で侍と対話をしていたという記憶が意識内に残っていた。外見上はどこにでもいるような子供の姿をしているのだが、腰に刀を差していたのだった。

 私達はしばらく他愛もない世間話をしていたのだが、殺して欲しい人間がいるかと侍が私に訊いてきた。侍はそれまでと同じ淡々とした調子でその質問を口に出した。しかし、私はかなり物騒な問い掛けだと感じたので思わず答えに詰まった。

 「いるのだな」と侍は言った。鋭い目付きで私の顔を見つめてきていた。

 「いませんよ」と私は慌てて侍の言葉を否定した。

 すると、侍は突如として激昂し出した。顔面を紅潮させながら甲高い声で怒鳴ってきたが、言葉の内容は聞き取れなかった。姿は子供のままだったが、私はあまりの剣幕に圧倒されて逃げ出したくなった。すると、そこで目が醒めた。


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