ライオンの舌 | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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短い物語ばかりですので、よろしくお願いします。

 さあ。そこのお客さん。あなたは今日、何を食べるつもりですか?そして、明日は何を食べるつもりですか?いちいち食事の度に思案していて面倒臭くありませんか?しかも、何かを食べたいと願うだけではなく、材料を買い揃えて調理をしなければならないのでしょう?まったく手間が掛かり過ぎるじゃありませんか。

 でも、この商品を見てくださいよ。このライオンの舌がお客さんの悩みを解決しますよ。これを装着すれば生肉が好物になりますよ。だって、そうでしょう?ライオンは生の肉しか食べないのですからね。ライオンが今夜は焼き魚にしようか、などと思案するわけがないのですからね。この舌を装着すれば毎日の献立に悩まされる必要がなくなるのです。生肉一択ですよ。

 しかも、生肉ですから調理の手間も不要です。肉屋で購入してきた食材にそのまま齧り付けば充分ですよ。ライオンの舌を装着していれば生肉がこの世で最も美味しい食材であるという揺るぎない確信を得られますよ。つまり、毎食のように至上の美食を体験できるわけです。どうですか?買ってみませんか?



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