坂道の絵 | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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 美術館で坂道の絵を見た瞬間、私の目はその画面に釘付けになった。よく夢の中で見掛ける光景に酷似していたのだった。過去に何度となく歩いた経験がある道なので私はその坂を越えた先に広がっているはずの景色を克明に思い出せた。

 作者の名前を確認したが、まるで馴染みがなかった。どうやら異国の画家であるらしかった。紹介文も読んでみたが、既に死んでいるらしかった。ほんの数分前まで存在さえ知っていなかったが、その画家が既に亡くなっているという事実に触れて私は強い衝撃を受け、心の底から落胆した。

 そして、私はその画家がこの世に残した作品をすべて鑑賞しなければならないという使命感を抱いた。異国の画家なので実現は難しいかもしれないが、そうしなければならないという意志が深々と心に突き刺さっていた。

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