暗がりの金魚 | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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 美術館で金魚の絵を見掛けた。精緻な描写だったが、周囲の暗い水と比較すると体表の赤色があまりにも鮮やかなので金魚の丸い身体が発光しているかのように見えた。幻想的な雰囲気だった。私は今にも金魚が画面から抜け出て宙をふらふらと漂ってきそうな気配を感じた。

 その日以来、私は夜道を歩く度に鮮やかに輝く金魚を探すようになった。美術館で見た絵を参考にするならば金魚は暗い場所に潜んでいるはずだった。私はできるだけ暗がりを覗き込んで確認していたが、大抵は何もなかった。金魚はなかなか見つからなかった。

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