暗くなる路地 | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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 入り組んだ路地を歩いていた。風景の中に占める影の面積が刻々と拡大しつつあり、しだいに辺りが暗くなってきていた。私は適当に道を選んでいるつもりだったが、無自覚にどんどんと暗い場所へと迷い込んでいっているようだった。

 このままでは周りの景色が見えなくなって一歩も先に進めなくなるかもしれないという懸念を抱いたので私は踵を返した。どこかで暗くなる路地に入ったらしいので、その分岐点まで引き返して明るくなる道を選び直そうと考えた。

 しかし、辺りは暗くなる一方だった。たまに明るくなったように感じる時もあったが、全体としては暗くなる傾向にあった。歩けば歩くだけ明暗の次元の勾配を上るどころか、まるで蟻地獄の罠に嵌った蟻のように、ずるずると谷底へと下降していっていた。

 疲れてきたので私は公園に入り、ベンチに腰を下ろした。頭上を見遣ると青空が明るかった。雲が随分と遠くにあるように見えた。


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