瓶世界で | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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アメーバブログにて超短編小説を発表しています。
「目次(超短編)」から全作品を読んでいただけます。
短い物語ばかりですので、よろしくお願いします。

 瓶の中で生活している。ここでは大気に酒精が含まれていて、そのせいで住民達は概ね延々と酔っ払い続けている。笑い続けている奴もいるし、泣き続けている奴もいる。飲酒による精神状態への影響は個人によって差異がある。眠り続けている奴もいれば、凶暴になる奴もいる。私は酔えない。少なくとも他人からは飲酒の影響が出ていないと評価されている。しかし、そのせいで疎外感に苛まれている。なんとなく馴染めないのだ。酔っ払いへの共感が欠落しているので、彼等の輪の中になかなか入っていけない。だから、この世界では人間関係を広められない。いつも特定の住人ばかりを摑まえて相談に乗ってもらっている。

 「また、お前かよ。今日は何の用だ?とはいえ、こんなに狭い世界だ。どうせ目新しい情報なんて持ってないんだろう?まったく退屈な世の中だよ。そう思わないか?」

 「まあ、瓶だからな」

 「お前は二言目には瓶を悪者にするんだよな。そんなに嫌いか?」

 「ああ、嫌いだね。早く外の世界に脱出したいよ」

 「諦めろ。ここでは大気に含まれた酒精を楽しんでいる人間が大半なんだ。栓を開けて皆の酔いを醒ますなんて無粋な真似が許されるわけないだろう?俺だって賛成しないぜ。それとも、お前は住人を説得して回る覚悟を持ってるのか?一人の力では栓を開けられんだろう?」

 「正気じゃない酔っ払いとなんか口を利きたくないよ」

 「ふん。だろうな。諦めろ」

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