休日だが、特に予定もないので家に籠っていようと考え、最初は居間で雑誌などを読んでいたのだが、洗濯物が溜まっていたのを思い出し、この機会にそれを処理しようと決心して洗濯機を作動させたところ、全自動機能が無事に最後まで仕事を遂行するのかという懸念に好奇心を覚え、今はその機械の正面に陣取って推移をじっくりと見守っている。
どうやら私以外にも洗濯機の働き具合が気になって仕方がないという利用者は大勢いるらしく、その製品はボルト一本に至るまで透明の素材で組み立てられているので中身が外側からも一目瞭然である。様々な色の衣服が濁った水の中で渦巻いている。四方八方から観察できるように部屋のほぼ中央に鎮座している。
椅子に腰掛けながら回転の様子をじっくりと凝視していると目が回って意識が微睡んでいく。しかし、彩りが豊かで刻一刻と模様が変化し、少しも景色が定まらないので一向に飽きる気配がない。私は下着や寝間着などが回転している様子をずっと眺め続ける。そうして休日をゆったりとした気分で過ごす。いつまでも洗濯機が止まらなければいい、と考えている。
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