海底都市へ | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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 悲しい気分だった。私は一人きりで岬の突端に立ち尽くしていた。ずっと真っ直ぐに歩いてきた道が足元で途絶えてた。旅が終わったのだ、と悟って半ば放心していた。

 冷たい潮風が頬を撫でていた。私は堤防を乗り越えて砂浜に行き、波打ち際に腰を下ろして片手で海水に触れてみた。

 いつの日にか人類は水中にも進出して海底に都市を造成するのだろうか、と考えてみた。そんな時代に生まれていれば旅をこの地点で終了させる必然性も失われ、このまま海に入水していけたかもしれなかった。そのような想像を働かせてみると自分が身を置いている文明がまだまだ未熟であり、発展していくべき余地を多く残しているという印象を抱くのであった。

 そして、私は遠い水平線を見つめながら未来世界に思いを馳せた。

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