嵐の夜に | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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 今日は朝から空模様が怪かったが、午後から雨が降り始め、夕方頃から風がかなり強まってきた。低く唸るような音が断続的に寝室の中にまで聞こえてくる。この小さな木製の住居が吹き飛ばないか心配である。大気なんてこの巨大な地球を覆う薄っぺらな皮膜でしかない。それがこれだけの力を発揮しているという事実に驚かされる。或いは、嵐の勢いによって大気が地球から剥がれて宇宙空間に吹き飛んでいかないかという事も危惧される。そうなれば私を含めた全生命体は窒息するしかないだろう。しかし、今のところ大気は地球を覆う薄っぺらな皮膜でしかない。量が少ないので宇宙に飛び出していくまでの力を持ち得ず、相変わらず我々の周囲に留まっていてくれるというわけである。私はそのように結論付け、安心して睡眠を取る事にしたのだった。

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