電信柱恋物語 対話編 | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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短い物語ばかりですので、よろしくお願いします。

 「最近、あなたの服に砂埃が付いている事があるけれど、どうしてかしら?」
 
 「それは仕事で疲れが溜まっているからだよ」
 
 「仕事で疲れると服に砂埃が付くの?」
 
 「昼休みとかに公園のベンチで少し横になるんだよ」
 
 「あなたはうつ伏せで寝ないわよね?」
 
 「寝返りくらい打つだろう?」
 
 「今度から家に入る前にしっかりと埃を払ってね」
 
 「そうするよ」
 
 男は電信柱との関係が不倫には該当しないと思い込む事によって平常心を保とうと努力する。この世界に電信柱を恋愛対象としてしている人間がいるなどという話は聞いた事がないし、だからこそ妻がちょっとばかり勘を働かせたところでバレるはずがない、と自分自身に言い聞かせる。しかしながら妻と目線を合わせようとはしない。彼女の姿を視界に入れる事さえない。そして、頭の片隅では今度の休日にでも電信柱を清掃しようと考えていたのだった。


電信柱恋物語シリーズ

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