皆様は救急車にお世話になったことがありますか。

わしはこの頑丈な見た目と裏腹に、今までで2度ほどお世話になったことがある。

1度目は仕方なくまだ小学生だったこともあり、

親が判断し救急車を呼んだという流れだった。

2度目は一人暮らしの時に、今思うと強烈であった。


わしは当時大学生で一人暮らしを満喫していた。

大学で出来た友人とディズニーランドに行くことに。

もちろんみんなバイトをしていて金欠状態。

迷わず格安の夜行バスで行く選択となった。

わしを含めの3人旅。

2列シートを友達に遠慮して譲ってしまい

わしは横に誰がくるのかとヒヤヒヤしながら

座席で小さくなりながら待機した。

そしてハズレを引いた。

かなり悪臭のする汚らしいおじさんが

わしと関西〜東京を共にすることになった。

おじさんは大きなリュックを抱えており

乗ってくるなり靴を脱ぎ、上着を前から肩にかけ即眠る体制に。

わしは悪臭と、初めての夜行バスで眠れず

そのままディズニーランドに到着してしまった。

途中、見かねた友人がサービスエリアに到着する際に

座席を変わるでと

前の座席の隙間から提案してくれたが

通路側のこのおじさんはサービスエリアで

車内が明るくなっても眠り続けていた。

気の弱いわしは起こすことは出来ず、

友人にもこんな思いをして欲しくなく

自分が眠れさえすれば問題はなくなると申し出を断った。

これがいけなかったのだ。

ディズニーランドについたころには疲労困憊であった。

友人たちが絶叫系の乗り物に乗っている間

わしはとてもじゃないが、

その強烈な乗り物に耐えうる精神力は持ち合わせておらず、ベンチに座って休憩するほどだった。

とにかく気を使わせてはいけないと

気丈に振る舞い、1日を乗り切った。

そしてわしらは宿泊もせずその足でトンボ帰りで

関西行きの夜行バスに飛び乗った。

帰りは友人同士で座らしてもらったが

一晩中眠れていないわしの目はギンギンに開き

帰りの車内でも気持ちよく眠ることは出来なかった。

無事関西に帰ってき、友人ともに朝食をファミレスで食べてから解散しマンションに戻った。

この時のわしはまだ眠気に襲われておらず

まさに眠っていなからこそくる

脳みそのイカれ具合でハイテンションであった。

なのでマンションに着いたら無理矢理寝てやろうと

帰宅後すぐに荷物を片づけ、シャワーを浴びてベッドに向かった。

しかし眠れない。脳汁が出まくり、脳が覚醒状態。

まあ家だしいつでも眠りにつけるし大丈夫だろうとわしは覚醒状態のまま大学の課題をやり、

アニメを見て脳が疲れるまで起きていた。

とうとうその日の日付が変わるころに眠気が襲ってきたのでベッドに再び向かい、ノートパソコンを開け、

アニメを見ながらあくびをした、その瞬間。


がくっ!!!!!!!!!!!


脳みその中で何かが砕ける音がした。

その瞬間わしはパニックになった。

口が閉まらない。

嘘だろ!!!!!!!

全く口が閉まらない。そして顎に強烈な痛み。

すぐさま脱衣所に行き鏡で顔を確認すると完全に口が開きっぱなしになっている。

無理やり手で押し、閉めてみるが閉まらない。

というより閉まる気配がない。

完全に何かに顎がかっちりハマっている。

右から見ても左から見ても、これは死んだ!と思った。

覚醒した脳みそにパニック状態、

そしてパックリ開いた口。

顎が外れた状態で、吐き気がわしを襲う。

そして止まらないリバース。

(汚くてすみません)

心臓の鼓動も早くなり、何を食べたんだと思うほどのリバース。

部屋は地獄絵図と化した。

パニック状態のわしはリバースしながら

なんとか口が治らないものかと鏡の前で悪戦苦闘した。

そして少しして悟った。

これはどうにもならない。

時刻は深夜の1時前。

両親は県外だし電話しても寝てるはずだし気づかない。(一応両親共に電話をしたがもちろん出ない)

朝まで待っていては死んでしまう。


隣人に助けを求めよう…。


でも寝てるはず、物音もしないし、

なんしこんなリバースしまくりの格好で迷惑過ぎる…。


限界だ…。救急車を呼ぼう…。


そしてわしは何を思ったのか110番を押した。


110番:事件ですか?事故ですか?

わし:あうあうあうあ〜…。


電話して気づいた。

顎が開いている状態で喋れない。


わし:あうあうあうあ〜。

110番:…?なんですか?話せますか?


わし:あうあうあうあ〜。

110番:ガチャ。ツーツーツー。


切られてしまった。そらそうだ。

だがパニックのわし再びトライ。


110番:事件ですか?事故ですか?

わし:たーすぅけ〜あう〜


110番:え?なんですか?どうしました?

わし:あぉあぉ〜あぉが〜


110番:はい?殴られたんですか?喋れますかー?

わし:ひがぅ〜たぅけ〜ぇ


110番:いたずらですか?

わし:ちがぃ〜


110番:ガチャ。ツーツーツ。


わし、リバースしている上に泣く。


もう一度トライして「あご」という単語だけが通じた。

そして一度目に応対した方に電話を取ってもらい

あちらがいろいろと質問していただけることに。

はいだけは通じ、いいえの時は無言を貫くという

意思疎通方法を取っていただき、

やっとのことで口が閉まらないことを汲み取ってもらった。だが110番なのでどうにもできない。

救急車を呼ぶように言われ、119番にかけるように言われた。

そして119番に連絡したが住所がどうしても通じない。わしの顎も限界に近づこうとしていた頃

119番対応していただいた方の限界もきた。


119番:何を言っているかわからない。タクシー会社の電話番号を教えるのでタクシーを呼んで病院に行ってください。ツーツーツー。


がーーーーんっ。

が、しかし諦めたら終わりだ!

わしは喉の渇きとパニックで死を感じていたのでタクシー会社に電話をした。


すると奇跡が起きた。

このタクシー会社で電話応対してくれたおっちゃんが神対応をしてくれ、

わしのわけのわからない喚きの住所を

根気強く聞いてくれ、なんとタクシーではなく

お客さんからこういう電話があったからと

119番に電話を代わりにしていただき、

わしの家に向かわしてくれた。

そして無事にわしは病院に運ばれた。

が、そこからわしは病院についた安心感で

もっとリバースしてしまい、その異常な状態に

看護師さんに

顎以外に食中毒になっていないかなど

別の病気ではないかと

顎が外れた状態で軽く問診された。

19歳という年齢で赤ちゃんのように

肩をさすってもらい、

他に救急できた方の注目の的になった。

そしてわしをもっと不安にさせる言葉を浴びせられた。


看護師:今ね、顎の専門の先生いないねん。当直の先生にお願いして顎を治してもらわないといけないけど痛いと思うから我慢してね。


そりゃそうだ。夜中になんで顎に詳しい先生いるねん。

ええぃ。こうなったら誰でもいいしお願いします。

と思いベッドに寝転んで先生を待った。


わしは今でも覚えている。

この先生が若くてめちゃくちゃイケメンだったことを。

しかも優しい。

余計恥ずかしくなり、リバース再開。


先生はわしの口に親指を入れ、

めちゃくちゃ下に引っ張った。


イケメン医師:ごめんね〜痛いけどちょっとリラックスしてね〜

わし:(泣く)


でも治らない。


イケメン医師:めちゃくちゃ頑丈やな〜wもう一回いこか〜


がちっ!!!!!!!!!


イケメン医師:ゆっくり口閉じてみて〜


わし:閉じれましたああああ(号泣)


イケメン医師:(苦笑い)


わし:ありがとうござぃますぅうううう(ブス)


イケメン医師:両顎外れた人は珍しいから〜初めて診察したよ〜

顎の関節は大きいけど、極端に顎が小さいように見受けられるから、顎関節症で間違いないかもね〜

脱臼みたいなもので繰り返すから気をつけてね。

ところでなんで顎外れたの?


わし:かくかくしかじか…。


イケメン医師:あ〜疲労もあったのかな…wこれからあくびする時は手を添えて大口開けないように。あと硬いものはあまり食べない方がいいね。


わし:例えば…?


イケメン医師:うーん。


わし:わしスルメ好きなんですけど控えた方がいいですか?


イケメン医師:1番あかんね。あとガムとかグミとかも関節疲れるから極力やめた方がいいかも。とりあえず今日の帰り、顎の専門の先生の受診の予約を受付でして帰って、診てもらった方が早いね。


わし:ご迷惑おかけしてありがとうございました。(ブス)


そしてわしはリバースのし過ぎで脱水症状も出ており、落ち着きを取り戻すべく点滴もしてもらった。


こうしてわしは無事、口を閉じるに至った。

帰りに病院の提携しているタクシーを呼んでもらったが、救急車を呼んでくれたタクシー会社と同じだった。

夜間の病院にくるタクシーの運転者は

毎日病院帰りの患者を乗せるらしく

何で運ばれたのかお客さんに聞いていると言っていた。

なので、わしはお礼を言っておいて欲しいと詳細を含め話した。

わしは落ち着いてからふと思っていた

なんてつまらないことで救急車を呼んだのだろうと。

病院の帰りにも、看護師さんにも謝った。

恐らくお世辞だろうと思うが、病院の方も、タクシー会社の方も仕方ないよ。君の場合は。ということを言ってくれた。

わしはこの経験から1人の時でも

タクシーをすぐに呼べるようにスマホを所持してから

絶対にタクシー会社のアプリを入れるようにしている。

ここ最近のテクノロジーで電話をせずともタクシーを呼べることを感謝している。


この件を思い出す度に

あの時関わった全ての人々に

ご迷惑をお掛けして申し訳ございませんでした。と

謝罪したい気持ちでいっぱいになる。

特に先に110番をしてしまった担当の方には

思い出す度に情けなさと申し訳なさで、なんとも言えない気持ちになる。


後日談で、再診と運ばれた際のお会計に伺った時に、イケメン医師に顔を覚えてもらっていて会釈された時は、我ながらアホ脳全開で初恋の気持ちになった(迷惑ブス)


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