そんなこんなで後釜漢はすぐにやってきた。
出社すると後釜漢は誰よりも早く席に着いていた。
第一印象の見た目はどこにでもいる普通のサラリーマン。
朝からパソコンと睨めっこしている。
この様子だけ見ると、本社でやらかしたツケを回収しようとしての
早朝出社なのか…?と思うが、きっとそうでない。
なぜなら後釜漢は本日ここに初出勤。
誰も仕事を与えていないし教えていなのに
パソコンで一体何をしているのだろう…。
異様な雰囲気を放ち、誰も話しかけられないでいた。
始業時間ちょうどにエリア部長がきた。
エリア部長がきた時だけ、起立し挨拶した。
エリア部長のことを怖がっているのを見て取れた。
そしてエリア部長より紹介がされた。
今日からここに異動になった、後釜漢さんです。
仕事に慣れるまでサポートのほどよろしくお願いします。
後釜漢も後に続き、後釜漢です。よろしくお願いします。
と簡単に紹介は終わり、エリア部長は去っていった。
わしは後釜漢と横並びの席になったので、
個別で自己紹介をしようと声をかけた。
わし:最近入社したばかりのわしです。
よろしくお願いします。
後釜漢:さっき自己紹介したんで名前は言わない。
時間の無駄なのでさっさと仕事してください。
きっしょ何こいつ
嫌い
誰かツマミ出してくれ
本社でやらかした内容は聞いていないが、
絶対こいつ人間関係やな。
さっきの普通のサラリーマンと言ったのは撤回や!
ブサイク!顔がブスとかじゃなくて性格がブス!
陰気臭いブサイクなおっさんや!
というのがわしの第一印象となった。
それから1週間ほどは教育係のおじさんに
仕事を教えてもらいなが黙々と仕事をこなしていた後釜漢。
ある日突然髪型を七三分けにしなんとも表現し難い、
新しめの謎のスーツを着て出社してきた。
1週間そこらで仕事をマスターした気になった後釜漢は
その日からわしともう1人の女性に指示を出し始めるようになった。
後釜漢がやった仕事が回ってくるようになり
内容を確認すると噂通りの仕事の出来であった。
集中力がないのかなんなのか、とにかくミスが多い。
最初のうちは自分の仕事の合間に後釜漢のミスも訂正し
チェックをしてもらい、サインをもらうようにしていたが
なんせ本当に詰めが甘く、本当に真剣にやっているのかが疑わしいレベルであった。
いよいよ後釜漢のミスのフォローをしている余裕がわしにも無くなっていき
意を決して、ミス書類を2、3枚溜めてから自分で訂正してもらうように促した。
これがいけなかったのだ。
その日からわしは重箱の隅をつつくように、
後釜漢:わしさんこれ違う。
わし:すみません。
後釜漢:これも違うよ。はあ〜(ため息)
わし:これわしじゃないです。
わし:これもこれも訂正お願いします。
後釜漢:…。(無視)
ご覧の通り、バチバチになったのである。
人間関係はこんな些細なことでおかしくなるのだ。
今思い出すとわしも事前に後釜漢の素性を教えてもらっていたのに
なぜこんな幼稚な応戦をしていたのかが意味不明である。
こんな毎日を送っている中事件は起きた。
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