すみせごの贄 | 山田屋古書店 幻想郷支店

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物語を必要とするのは不幸な人間だ

作者は澤村伊智。

 

料理教室の羽仁孝夫先生が行方不明になり、彼に世話になったという料理研究家の辻村ゆかりが代理として講師を務めることになった。羽仁の娘でアシスタントの鈴菜が尊敬している人物だ。うるさ型の生徒との間でひと悶着あったものの、辻村が教える料理は素晴らしく、教室が終わってからは和やかな懇談となった。そこで生徒たちは羽仁が行方不明になる前に出会った不思議な出来事について語り始める。真っ黒で棒のように痩せた人物の存在。羽仁によるとそれは人をさらう「すみせご」というおばけらしく、科rはその存在に怯え始める。

 

比嘉姉妹シリーズとそれに関連する人々が登場する短編集。あらすじは表題作の「すみせごの贄」より。比嘉姉妹も野崎も一切登場せず、ずうのめ人形などに登場した辻村ゆかりとその不気味な推理が描かれる。他の短編集でもメインを張ったことがあるし、作者のお気に入りキャラなのかな。

 

「戸栗魅姫の仕事」ではインチキ霊能者の戸栗魅姫と珠美という少女が旅館の中で半日ほど行方不明になる。窓や戸は開かず、破壊することも出来ない。そこに黒手袋の女が現れた。インチキ霊能者でも役に立てる、彼女なりの仕事がある、みたいな話は好き。凡人でも活躍出来るんだ、みたいな。

 

どの作品も面白かったが、いい加減時系列がよく分からなくなって来ている。本作に収められている作品も時間軸には結構幅があるようだ。ファンサイトで長編、短編を時系列にまとめたものがあるので、いつかそれに沿って読んでいけば流れが把握できるのだろうか。いきなり真琴の死の気配とか漂わされても困っちゃうよ。

 

次は貫井徳郎。