女と男、そして殺し屋 | 山田屋古書店 幻想郷支店

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物語を必要とするのは不幸な人間だ

作者は石持浅海。

 

鴻池知栄はインターネット通信販売業を営んでいる個人事業主だ。夫を亡くしてから5年、大きなビジネスではないが手堅い需要がある芸術品やアイデアグッズを扱い、娘の彩花を一人で育ててきた。そして彼女には副業がある。殺し屋だ。知栄の通信販売サイトでとある高額商品を買うと詳細を記入する用紙が現れ、依頼人はそこにターゲットの名前などの情報を入力する。知栄は調査を経た上で依頼を受けるかどうかを決め、受けた場合は一か月以内に決行する。今回は一人の男性を殺してほしいという依頼だったが、奇妙な点があり、助手である本多元に意見を求めることにした。

 

殺し屋シリーズの第三弾。あらすじは女性の殺し屋の鴻池知栄相棒の本多が活躍する「ペアルック」より。ターゲットは恋人の兄と常にペアルックであり、殺害には問題がないものの、なぜそうなったのかが分からず知栄は本多とともに頭を捻る。前作に続いてこの二人が登場、富澤同様に依頼外のことで悩む。

 

今回は富澤の本業である経営コンサルタント部分がクローズアップされるという珍しい場面も描かれる。それが「父の形見」だ。急死した父から事業を受け継いだ男のコンサルタントとして、富澤は適切なアドバイスを送り、本業でも優秀なことが分かる。掴まったことがないわけだし、基本頭がいいんだろうな。

 

表題作の「女と男、そして殺し屋」では富澤と鴻池、二人の依頼が交錯する。前作ではお互いの存在を認識しあうような話はあったかな。4年も前なので記憶が曖昧だ。好きなシリーズではあるものの、二人の殺し屋のキャラクターの対比がはっきりせず、個人的には富澤サイドだけでも良かったように思う。

 

次は前川裕。