バイ菌が体を守ってくれている話 | やまびこDr.の診療日記

やまびこDr.の診療日記

人生の大事業の子育ては、ほとんどぶっつけ本番! 分からない事だらけで心配がつきません。
でも正確な情報を知り納得できれば心配は減らす事が可能です。
薬よりもっと大切な事をお伝えする小児科医のブログです。

人間の体の表面を覆っている組織は、皮膚と粘膜です。

 

つまり、皮膚と粘膜により自分と自分以外を隔てているのです。

 

そして皮膚にも粘膜にも、体の中に侵入しようと狙っている輩(やから)から守ってくれる常在菌という細菌がいてくれています。

 

手にも足にもお腹にも背中にも顔にも頭にも全ての皮膚にいます。

口の中にも鼻の中にも胃にも腸にも、あらゆる粘膜にもいます。

 

たまに病原菌とよばれる病気の元となる細菌もいますが、他の常在菌たちにより封じ込まれ大人しくしているため病気になりません。

常在菌が病気にならない様に守ってくれているのです。

 

そしてその細菌は何百種類もあり、人により種類も数も違っていて全く同じ人はいません。

また人と人が触れ合うことで常在菌の交流もおこり、細菌レベルでの情報交換が行われることで多様性が獲得されていきます。

 

常在菌の中でも特に腸の中の細菌を「腸内細菌」といい、ここ数年注目されています。

 

腸内細菌は病原体から守ってくれていること以外にも、ビタミンや酵素を作ってくれたり、消化吸収を助けてくれたり、また人の思考にも影響を与えているのではないかと言われていたりもします。

 

そのように、細菌は体にとって重要な働きをしてくれているのですが、今は細菌を目の敵にして、とにかく殺菌・滅菌・除菌・抗菌をする風潮になっています。

 

防腐剤も保存料も抗生剤も消毒液も、全ては細菌をやっつけてしまう化学物質です。

病原菌だけならいいのですが、そんなことはお構いなしで何でも対象にしているため、皮膚や粘膜にいる全ての細菌がダメージを受けています。

 

最近の隔離・隔絶・非接触により、多様性の獲得ができなくなり、滅菌・除菌により常在菌が被害をうけ、免疫力に問題が生じている可能性があります。

 

どんなことにもメリットがあればデメリットがあります。

 

「過ぎたるは及ばざるが如し」

 

そろそろ「こんな事する必要あるの!?」とおかしいなと思うことがあればやめてみて、生活を元に戻していければいいなと思っています。

 

ちなみに、「バイ菌」とは「細菌」のニックネームであり同じものです。

アンパンマンが「バイ菌」を広めた張本人ではないかと疑っています。^^