令和4年中央区議会第四回定例会一般質問要約 | 中央区議会議員 山本りえ 無所属

中央区議会議員 山本りえ 無所属

謙虚・素直・感謝の気持ちをもち、社会に必要とされるひとになります。多くの方々の信頼と期待に応えたい。

令和4年第四回定例議会では、本の森ちゅうおうの開設に向け、八丁堀駅周辺エリアの賑わいの創出について一般質問を行いましたので、その一部を要約してご報告致します。

 

■区立図書館への指定管理者制度の導入状況と課題等について

中央区では、令和3年度から区立図書館に指定管理者を導入しています。指定管理者とは、行政に代わって「公の施設」を民間事業者に管理運営させる制度のことです。公共施設の管理運営に民間のノウハウやアイデアを活かし、住民サービスの向上、管理運営の効率化、行政コストの軽減などを図ります。民間事業者の柔軟な勤務形態を活用した開館時間の延長、休館日の短縮など住民の利便性の向上や新たなサービスの展開がなされる一方で、書籍の選定、書籍の購入、図書館司書の配置、レファレンスサービスの質の確保などの課題があげられます。図書館司書によるレファレンスは、図書館の重要なサービスのひとつです。

本の森ちゅうおうにおいては、地域資料と郷土資料に関するレファレンス窓口が一本化されることから、指定管理者には江戸以来400年以上にわたる本区の歴史・文化が感じられる史資料等に対する知識の習得や蔵書の把握が必要となります。図書館利用者の相談や質問に対して、迅速かつ的確に情報提供することが求められることから、専門的な知識や経験を有する人材の継続的な配置は不可欠です。

また、区立図書館は、収益の生じない施設です。その性質上、指定管理者にインセンティブが働きにくい事業となっています。指定管理者の公募により一定の競争環境が整っているとはいえ、市場の寡占化や事業者の固定化が見受けられることから、指定管理者の自主的な経営努力を促し、インセンティブを高めていく仕組みづくりが求められると訴えています。

 

■図書館資料のデジタル化と障害者の就労支援について

電子図書館の先駆けである国立国会図書館は、資料の利用と保存の両立を図ることを目的に、所蔵資料のデジタル化を進めています。日本最大の蔵書を誇る国会図書館が進める所蔵資料のデジタル化業務を担う、障害者のための「就労支援の場」が開設されています。デジタル化業務は、国会図書館から公益財団法人日本財団が受注して、全国8か所の障害者就労施設に委託しています。所蔵資料のスキャンやデータ入力などの作業以外の周辺業務に携わる人も多く、関係者は大事な資料を未来に残す仕事に誇りをもち、後世に残る仕事にやりがいを感じているそうです。働くことの意義は、健常者も障害者も変わりません。むしろ、障害のある人の就労意欲は社会の大きな力となり得ます。障害者の自立を後押しするデジタル化事業は、社会的意義のあるプロジェクトです。そこで、区立図書館における所蔵資料のデジタル化業務を障害者就労施設等に発注するなど、障害者のモチベーションが高まる就労支援の場の提供を提案しています。

 

■区立図書館の役割と未来像について

デジタル社会の進展に伴い、図書館は歴史的な所蔵資料のデジタル化、郷土天文館の収蔵資料のデータベース化、書籍等資料の電子化など、図書館システムのICT化や電子図書館サービスの充実を図っています。いつでもどこでも利用できる電子書籍貸出サービスのメリットは、36524時間対応が可能なこと、来館が不用なこと、貸出業務が簡素化されること、物理的な保管場所が不用なことなどがあげられます。一方で、デメリットは、貸出・閲覧可能な電子書籍が限定的であること、書籍の電子化にコストがかかること、図書館システムと連携していないことなどがあげられます。

電子書籍の普及やネット通販が台頭するなかで、まちの本屋は生き残れず次々に閉店しています。新しい本との出会いの場であったまちの本屋が消えつつある時代だからこそ、本との一期一会を楽しめる図書館の役割は大きいと考えます。また、図書館は地域における子どもの読書活動の推進、学校教育との連携による読書・学習支援、社会人のスキルアップや新たな知識の獲得にも重要な役割を果たしています。そこで、これからの区立図書館の役割に対する具体的認識を伺うとともに、中央区が描く区立図書館の未来像について確認しました。

■八丁堀駅周辺エリアの賑わいの創出について

中央区緑の基本計画では、公園利用者のニーズに配慮しながら、公園の効率的な維持管理体制の構築に向け、指定管理者制度や公募設置管理制度Park-PFIの導入など民間事業者との連携を視野にいれた公園整備や管理運営方針について定めています。Park-PFIは、都市公園にカフェやショップなどの便益施設を設置・運営する民間事業者を公募により選定します。便益施設から生ずる収益を公園施設の整備に還元することで、公園管理者の財政負担を縮減しつつ、都市公園の魅力や利用者の利便性の向上を図ります。都市公園法の特例措置として、収益施設の設置管理許可期間の更新が10年から20年に延長されるとともに、収益施設の建蔽率が2%から12%に緩和されました。この特例措置が民間事業者の投資や運営のインセンティブとなっています。令和4年度は、桜川公園を対象とした現況把握調査及びサウンディング型市場調査を実施しています。

桜川公園と本の森ちゅうおうの連携による八丁堀駅周辺エリアの賑わいの相乗効果が期待されます。桜川公園をアウトソーシングするにあたり、官民の連携を図るのに加え、指定管理者とPark-PFI事業者との民民の連携が欠かせません。そこで、管理期間やインセンティブの異なる民間事業者同士をつなぎ、エリア全体の一体感をどのように醸成していくのか質しています。合わせて、本の森ちゅうおうに隣接する都有地の活用について、都と積極的に協議すべきと訴えています。

▽中央区議会HP

https://www.kugikai.city.chuo.lg.jp/

▽中央区議会HPインターネット中継

http://www.chuo-city.stream.jfit.co.jp/

▽中央区立図書館ホームページ

http://www.library.city.chuo.tokyo.jp/index?1

▽中央区電子書籍貸出サービス

https://web.d-library.jp/chuo/g0101/top/

▽中央区子ども読書活動推進計画

http://www.library.city.chuo.tokyo.jp/kidscontents?2&pid=83

▽中央区教育広報紙「かがやき」

https://www.city.chuo.lg.jp/kosodate/kyouikuiinkai/kyoikukoho/_user_kyosyomu.files/kagayaki_174_web.pdf

▽中央区緑の基本計画

https://www.city.chuo.lg.jp/kankyo/keikaku/_user_kdmizu_time_20190508.html

▽公園の魅力向上に向けた官民連携方針

https://www.city.chuo.lg.jp/kankyo/koenzido/kouennmiryoku.html

▽中央区におけるPark-PFIの導入の方向性や考え方

https://www.city.chuo.lg.jp/kankyo/koenzido/kouennmiryoku.files/1kouhouchirashi.pdf

▽中央区立桜川公園におけるPark-PFI等官民連携事業方針

https://www.city.chuo.lg.jp/kankyo/koenzido/kouennmiryoku.files/05sakuragawahousin.pdf

▽指定管理者制度について

https://www.city.chuo.lg.jp/kusei/shiteikanri/siteikannrisyaseido.html