ルーブル美術館展 愛を描く 国立新美術館 | やまちゃん1のブログ

やまちゃん1のブログ

美術、映画、文学、グルメ関係のブログです。



観覧後に、
B1のショップで図録を買うと、
店員さんが
「朝からすごい人出です!」
と興奮気味

「愛ですかね」と聞くと
「ルーブルですね」と
まっとうな回答w

やっぱり日本人は“ルーブル”に
弱いようです

初日、14時の会でしたが当日券も販売しており、10分程度の待ち時間で会場に入れました
お客さんは圧倒的に若い女性(大学生だろう)とカップルもちらほら


展覧会の構成は、
プロローグ―愛の発明
Ⅰ.愛の神のもとに―古代神話における欲望を描く
Ⅰ―1欲情―愛の眼差し
Ⅰ―2暴力と魔力―欲望の行為
Ⅰ―3死がふたりを分かつまで―恋人たちの結末
Ⅰ―4愛の勝利
Ⅱ.キリスト教のかみのもとに
Ⅱ―1「ローマの慈愛」からキリスト教の慈愛へ
Ⅱ―2孝心・親子愛―聖家族に見る模範
Ⅱ―3犠牲に至る愛―キリスト教の犠牲と聖人の殉教
Ⅱ―4法悦に至る神への愛―マグダラのマリアの官能的・精神的な愛
Ⅲ.人間のもとに―誘惑の時代
Ⅲ―1室内と酒場―オランダ絵画における愛の悦びと駆け引き
Ⅲ―2優雅な牧歌的恋愛―フランス流の誘惑のゲーム
Ⅲ―3エロティシズム―《かんぬき》をめぐって
Ⅲ―4夫婦の幸福の演出
Ⅲ―5結婚の絆か、愛の絆か?
Ⅳ.19世紀フランスの牧歌的恋愛とロマン主義の悲劇
Ⅳ―1アモルとプシュケ
Ⅳ―2ロマン主義における男性の情熱
Ⅳ―3死に至る愛

さすが、ルーブル美術館!!
さながら「愛の博物館」状態

愛の発明から、古代神話の愛、キリスト教の愛、人間の愛―エロティシズム、結婚の絆か、愛の絆か?、死に至る愛…と章を追うごとに生々しい「愛」の姿を描いていきます

今回の白眉は、ブーシェ、フラゴナールのロココ美術であることは、冒頭のブーシェ「アモルの標的」とⅢ―3エロティシズムの題名になったフラゴナール「かんぬき」からも明らかですが、各章にある未見の優品も見逃せない


(第4章のみ撮影可能、他の写真はネット画像借用)

フランソワ・ブーシェ 
《アモルの標的》 1758年

ハートの的に二本の矢が刺さり愛が生まれ(二羽の鳩)、アトリビュートである矢や矢筒、弓は火で灼き尽くされる、上空ではアモルが二つの月桂冠を掲げ、愛の成功を祝福する


アントワーヌ・ヴァトー 
《ニンフとサテュロス》 
1715〜1716年頃

眠るニンフのベールを粗野で好色なサテュロスが持ち上げる


ルイ=ジャン=フランソワ
・ラグネル(兄) 
《デイアネイラを掠奪するケンタウロスのネッソス》 1755年

デイアネイラはヘラクレスの妻となった美貌の王女、エウエノス川の急流がヘラクレス夫婦の行手を阻む、ケンタウロスのネッソスが「私がデイアネイラを背に乗せて渡らせてあげます」と提案、ヘラクレスは先に川を渡る。デイアネイラの叫び声を聞きネッソスが妻を掠奪しようとしていることを知る。川が老人の姿で進行を阻もうとし、ヘラクレスは矢でネッソスを狙う…


ピーテルコレネリスゾーン・
ファン・スリンヘラント 
《悔悛するマグダラのマリア》 1657年

改悛したマグダラ(娼婦だった)のマリアがキリストの十字架像を手に瞑想する


サミュエル・フォン・
ホーホストラーテン 
《部屋履き》 1655〜1662年頃

作者はレンブラント工房に弟子入りし、ドルドレヒトで成功した
鍵がさされたままのドア、入口には脱ぎ捨てられた女性の部屋履き
画中画は「金銭づくの愛」を表しているらしい、急に現れた男との逢引だろうか



ジャン=オノレ・フラゴナール 《かんぬき》 1777〜1778年頃

「かんぬき」とはドアの鍵で形状から男性器の象徴、倒された椅子、壺は女性器の象徴、床には薔薇も落ちている、机にはイヴの誘惑のリンゴがのっている
女性は抵抗しているのか、媚態を示しているのか…




フランソワ・ブーシェ 
《褐色の髪のオダリスク》1745年


絵の中心は白く輝く肉づきのよい“お尻”だ、中年女性?と思うと頬をあからめた若い女性、白い肌に輝きを出すため青が効果的に使われている
発注主は徴税請負人で美術コレクター、文筆家のポプリニネール

当時の文豪ディドロは、「性交への背徳的な誘い」と激しく避難したらしいが、“お尻フェチ”は1751年にルイ15世の愛人をモデルにしたブーシェ「黄金のオダリスク」に継承される

 

第Ⅳ章のみ撮影可でした


フランソワ・ジェラール 
《アモルとプシュケ、またはアモルの最初のキスを受けるプシュケ》 1798年

題材は、アプレイウスの『変身物語 (黄金のロバ)」 』から
プシュケは王の3人の娘の中で一番美しかったが、その美しさに恐れをなしてか求婚する男は一人もいなかった。王は神託を受け、結婚式の衣裳を着せ、醜悪な化物が現れるという岩山に彼女を一人置き去りにした。プシュケの美しさに嫉妬していたヴィーナスは息子アモルに彼女へ“愛の矢”を射るよう命じた。プシュケの美しさに茫然としたアモルは誤って自分の矢で傷ついた。プシュケは風に乗ってアモルの素晴らしい宮殿に運ばれた。プシュケはアモルから決して顔を見てはならないと告げられていたが、どうしても夫の顔を見たいプシュケは禁を破り、夫の顔にランプを近づけた、眠るアモルの美しい顔に見惚れた時、ランプの油がアモルに落ち、目覚めたアモルは逃げ去ってしまう。プシュケはアモルの母、ヴィーナスから数々の試練を受けるが、それを克服する。アモルは神々にプシュケとの婚姻を懇願し許された。
プシュケは「蝶」と「魂」を意味する。アモルは「愛」キューピットである。

磁器のようになめらかな肌は新古典派ならでは
プシュケの目線はアモルから外れて、アモルとプシュケは微妙に触れ合っていないように見える




クロード=マリー・デュビュッフ 《アポロンとキュパリッソス》 1821年

古代神話の男性同士の愛を 題材にした作品。
キュパリッソスは、狩の最中に誤って可愛がっていた黄金の角をもつ牡鹿を殺してしまった。キュパリッソスは神々に死か、永遠の苦しみを懇願した。彼に恋していたアポロンは願いを聞き、キュパリッソスを糸杉に変身させた。それ以降、糸杉は裳の象徴となった。



ウジェーヌ・ドラクロワ 
《アビドスの花嫁》1852〜1853年頃

主題は、詩人バイロン卿の「アビドスの花嫁」からとられている。
描かれている男女は恋人同士である。女はズレイカ、ズレイカの父親が決めた政略結婚に反対する恋人セリムは父親に無謀な戦いを挑み、戦いの合図となる銃声を今まさに発しようとしている、必死に止めようとするズレイカ。その後、セリムは戦死し、ズレイカは悲嘆のうちに命を落とす。




アリ・シェフェール 
《ダンテとウェルギリウスの前に現れたフランチェスカ・ダ・リミニとパオロ・マラテスタの亡霊》
 1855年

主題は、ダンテ・アリギエーリの「神曲」に着想を得ている。
ダンテは古代ローマの詩人ウェルギリウスに案内されながら、自分の三途の川を巡る旅に出ていた。ある時、不義の恋に落ちたフランチェスカ・ダ・リミニとパオロ・マラテスタの亡霊に出会う。フランチェスカは政略結婚で不器量なジャンチョと結婚するが、弟のパオロと恋に落ちる。ジャンチョは二人を短剣で刺殺した。フランチェスカとパオロは肉欲の罪で地獄を彷徨っているが、死してなおお互いの強い想いで一つに結ばれていた…



愛の発明から、古代神話の愛、キリスト教の愛、人間の愛―エロティシズム、結婚の絆か愛の絆か?、
許されない愛で結ばれた恋人たちが不幸な終わりを迎える…



愛のカタログのような
ルーブル美術館展

LO U V R E
には愛がある

あなたは、どんな絵が
お好きですか?



ランキングに挑戦中
下のボタンを2つ、ポチッ、ポチッと押して頂けると嬉しいです!