腰をすえて読む本 | やまちゃん1のブログ
自粛な昨今に腰をすえて読む本。
天平・奈良の美術も楽しめます。
作者の折口信夫は、1887年(明治20年)生まれ。柳田國男の高弟の民俗学者であり、国文学者としても有名です。詩人・歌人でもあり、釈迢空のペンネームで正岡子規の「アララギ」の同人としても活躍しました(後に反アララギに転ず)。物語は、「山越しの阿弥陀像の画因」で作者が明かしている通り、日本独自の仏画である「山越しの阿弥陀」にインスパイアされた小説です。山越しの阿弥陀とは、山の間から、半身の阿弥陀仏および脇侍が出現する構図の仏画です。
金戒光明寺 山越阿弥陀仏図
山越阿弥陀仏図物語は、平城京と二上山(奈良県葛城市と南河内郡太子町にまたがる)を舞台とする8世紀後半。
二上山に葬られた大津皇子の目覚め?から始まる。
天子の後宮に入る事を拒否し、二上山の当麻寺に入り尼となった、中将姫伝説を下書きにしています。
中将姫が蓮の糸を織って一夜で完成させたという「当麻曼陀羅」も重要なモチーフとなっています。
当麻曼陀羅
小説は、万葉を模した文体となっているため、甚だ読み難い。しかし、読み進んでいくと、独特なリズムが心地よくなりました。
姫は曼陀羅を織り、山越しの阿弥陀を画く。
姫が光の霞に消えて行くシーンはむしろ清々しい。
感動しました。
阿弥陀如来は西方の極楽浄土に人を迎える仏