後期の雪鼎は、「春宵秘戯図巻」です。「四季画巻」よりワンサイズ小さいのですが、出来映えはそれ以上でした。まさに春画の傑作だと思います。官能は更に増し、男女の足のからみは、出雲大社のしめ縄のように美しい。(手の絡みでご想像ください)
これは粉本あるいは想像だけでは描けないものではないだろうか。雪鼎は、実際にモデルを使って下絵を描いたのではないでしょうか。写生とイマジネーションで構図を作り、腰の線もしっかり実在感があります。濃彩の美しさは言うまでもありません。(下半身は残念ながらお見せできませんが)
雪鼎の隣りに、円山応挙の「春画巻」がありました。これは粉本によるものと思われますが、ありきたりの構図と弱々しい線で、まるで生きていません。レベルの差は歴然です。
女性の性欲を積極的に肯定し、しかも神道に通じる霊と和合を感じさせる雪鼎の春画は世界に誇る芸術だと思います。
春画鑑賞の後は、駅前にあるモン・サンミシェル。秘戯図巻の余韻を白ワインとイワシのガレットで臓腑に溜め込みました。
さあ、春画しよ!?