時短命令に問題提起 提訴 グローバルダイニング | 山岸久朗オフィシャルブログ「正義は我にあり!!」Powered by Ameba

日本国憲法は、「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である」と定め(81条)、通常裁判所に違憲審査権を認めています。


そして判例は現在、精神的自由の制限と、経済的自由の制限に差を設ける、「二重の基準」を採用しています。


この二重の基準論では、経済的自由の規制立法には、「合理性の基準」が適用されています。

 

この合理性の基準には、職業活動の規制の目的に応じて2つに分けて用いられるようになりました。このうち、消極的・警察的規制(消極目的規制)については、裁判所が規制の必要性・合理性および「同じ目的を達する、より緩やかな基準」の有無を立法事実(立法の必要性・合理性を支える社会的・経済的な事実を言う)に基づいて審査する「厳格な合理性の基準」が用いられていますので、今回もこの基準で違憲性を判断されることになります。

 

・・・ただ。

「憲法判断回避の準則」というものがあり。

憲法の判断は、事件の解決にとって必要な場合以外は行わないという「必要性の原則」に基づいて準則化された一連のルールです。

その中に、「裁判所は憲法判断が記録上適切に提起されていても、もし事件を処理することができる他の理由が存在する場合には、その憲法問題には判断を下さない」というルールと、「議会の法律の効力が問題になった場合には、合憲性について重大な疑いが提起されても、裁判所が憲法問題を避けることができるような法律の解釈が可能かどうかを最初に確かめることは基本的な原則である」というルールがあるのです。しかるに今回、原告は104円しか請求せず、実際の損害額を「必要があれば」として現段階で一切証明していません。だとすると、裁判所は、違憲判断に踏み込まず、原告の請求を棄却するのではないか。そういう予測もできます。

 

<以下、Yahoo!ニュースから抜粋>

 

時短営業の「命令」を受けた大手飲食チェーンが、命令は違法として、東京都を相手取り、提訴した。 首都圏を中心にレストランなどを経営する「グローバルダイニング」は、時短営業の命令は違法と主張、東京都に対し、1店舗1日あたり1円、あわせて104円の損害賠償を求めて、東京地裁に訴えを起こした。 「グローバルダイニング」は当初、時短要請に応じていなかったが、都の「命令」を受けて、21日までの4日間、都内26店舗の営業時間を午後8時までに短縮していた。 弁護団は、「行政の過剰な権利制約が続いていて、訴訟で問題提起したい」としている。