「偽装請負」とは、派遣法上の規制を免れるために、実態は労働者派遣であるのに、
形式上、出向や請負を装うことを言います。
労働者派遣の場合、派遣受け入れ制限期間経過後の雇用申し込み義務など、
派遣法上のさまざまな規制が適用されるのに対し、出向や業務請負についてはそのような
規制が適用されないからです。
派遣と請負とは、主として、①指示管理権の所在、②業務の独立性の有無により区別されます。
すなわち、①自己の労働者に対して自ら指示管理を行うとともに、②当該業務を
自己の業務として相手方から独立して処理する場合には、派遣ではなく請負となります。
派遣と請負の区別については、「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」
(昭和61年4月17日労働省告示37号)および「労働者派遣事業関係業務取扱要領」
(平成16年2月18日職発0218003号別添)が、①及び②について、より具体的な
基準を設けています。
まず、①の指示管理については、以下のいずれにも該当することが求められます。
ア 業務遂行に関する指示管理を自ら行うこと。=例:仕事の割り付け、順序、緩急調整、技術指導、出来高査定
イ 労働時間帯に関する指示管理を自ら行うこと。=例:始業・終業時刻、休憩時間、休日、休暇、時間外労働、休日労働
ウ 企業秩序維持・確保のための指示管理、労働者の配置等の決定及び変更を自ら行うこと。
次に、②業務の独立性の有無についても、、以下のいずれにも該当することが求められます。
ア 業務の処理に要する資金について、すべて自ら責任のもとに調達し、かつ、支弁すること。
イ 業務の処理について、法律上規定された事業主としての全ての責任を負うこと。
ウ 単に肉体的な労働力を提供するものでないこと。