後遺障害と症状固定/交通事故 | 山岸久朗オフィシャルブログ「正義は我にあり!!」Powered by Ameba

後遺障害の等級によって、後遺障害慰謝料の額が変わります。


後遺障害の基準時は、「症状固定」のときとされています。


症状固定とは、「傷病に対して行われる医学上一般に承認された治療方法(以下「療養」と言う)をもってしても、その効果が期待し得ない状態(療養の終了)で、かつ、残存する症状が、自然的経過によって到達すると認められる最終の状態に達したとき」と定義されています(財団法人労災サポートセンター『労災補償障害認定必携(第15版)』67頁)。


簡単に言えば、症状固定とは、これ以上治療を続けても、被害者の受けた傷病が回復しない状態を言うのです。


実務上は、症状固定後に支出した治療費については特段の事情のない限り損害と認められません。また、症状固定日は後遺障害による逸失利益の算定における基準時になります。したがって、症状固定日がいつであるかは、損害額の計算上いわば分水嶺として重要な事実となります。


任意保険会社は、事故からある程度の期間が経過すると、医療機関に対して治療費の支払いを停止することがままあります。任意保険会社が治療費の支払いを停止すると、主治医の対応にもよるが、医療機関としてその後の治療に消極的になることがあります。しかし、だからと言って治療継続の必要がないとは一概に言い切れるものではありません。治療の継続の必要性については慎重に判断すべきです。


<以上、大阪弁護士会交通事故委員会「交通事件処理マニュアル」から一部抜粋>