半夏厚朴湯の話 その3.  そんなもので効くのか? | やくろう   健康のこと、病気のこと、漢方のこと、

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コロナと漢方薬の話 そのⅠ 

コロナと心の漢方薬の話

 

半夏厚朴湯の話 その3 そんなもので効くのか?

 

 半夏厚朴湯の出典は、約2千年前の後漢時代に成立した漢方のバイブル、「傷寒論・金匱要略(ショウカンロン、キンキヨウリャク)」です。そこにはたった一行、「御婦人が、まるで小さな肉の塊(かたま)りが、のどに引っかかっているかの様な症状(を訴える時)には半夏厚朴湯を用いなさい」と用法、用量が書いてあるだけです。

 

 

 

半夏厚朴湯です。

構成薬草は

半夏(ハンゲ)気を補って停留水を去る。

厚朴(コウボク);閉塞を緩めて漏らし、膨満感を解消する。

茯苓(ブクリョウ);過剰水を裁(さば)く。

生姜(ショウキョウ);(血流などの)流れを後押しする。

紫蘇葉(シソヨウ);ちょっとした発散。  

以上の5種類です。  *参照)荒木性次著:『新古方薬嚢(やくのう)

 

 シソの葉のお茶は清涼感があり少しはリラックス効果がありそうですが、他はショウガをはじめ、胃ぐすりのような簡単な薬草ばかりで、どれもそれぞれ単独ではとても“心の病い”に効きそうにはありません。 本当にそんなもので効くのか?です。“バカにしないでよ。” です。  

 

ところが前述のように、もしストレスが昂(こう)じて喉仏(のどぼとけ)のあたりに膿水腫様の膨(ふく)らみが出来て、それが食道壁を圧迫してのどが詰まるのだとしたら、この漢方薬半夏厚朴湯は実に輝いて見えます。

 

まず、コウボクが水腫様物を包む膜を温めて緩めると、ハンゲは内容水を揺さぶり外へ染み出すように追い出します。この時シソは掃き出すように発散させて排出を助けます。そして生じた水分をブクリョウがどんどん血流やリンパなどに流し込み、ショウキョウでその一連の流れを後押して加速してやれば、厄介な邪魔者など一気に雲散霧消するに違いありません。こうして障害物が解消されれば、生命の循環も力強く回復するだろうと期待されます。  

 

これが半夏厚朴湯の薬理でしょう。半夏厚朴湯は、組織内の厄介な水腫様のふくらみを破壊して障害を取り除くのには、打って付けの処方なのです。       *注)1

 

*注)1 半夏は、 管の中や組織表面に近い内部 動きが取れなくなって溜まった水分を捌(さば)きます。生姜は、ある流れや動きをダメ押しして勢い付けます。この2味(2種類)の半夏生姜湯(≒ショウハンゲトウ)は 嘔吐や吐き気、従って胃での消化不良、二日酔、車酔いなどに用います。もっと水分が多ければ、茯苓を加えます。こちら小半夏加茯苓湯(ショウハンゲブクリョウトウ) は、つわり(妊娠悪阻)の妙薬の一つです。  *注)2

厚朴と蘇葉は、内容物を掃き出し、包む袋の様な組織を砕くのに役立ちます。

 


*注)2  やくろうの「つわり(妊娠悪阻)の話」 はこちらからどうぞ、、、

 

 

    または、こちらから。逆順です。

 

 

半夏厚朴湯は通常1日4回の服用ですが、上記症状がうかがわれる場合に適切に投与されれば、たった1回お飲みになるだけでも驚くほど効くときがあります。

これこそ、どうぞ、お試しくださいです。

 

次回は、半夏厚朴湯 その4. 半夏厚朴湯は、のどが詰まる時だけかい? のお話です。

 

つづく、、、