「銀河鉄道の父」映画化!? | 遠距離大学に進学した次男や就職した長男のこと

遠距離大学に進学した次男や就職した長男のこと

就職1年目の長男と大学1年の次男,2人の息子をもつ父の日記です。


 数日前から「銀河鉄道の父」という本を読み始めました。


 宮沢賢治の父という意味ですが,賢治や妹を含め,宮沢家のことを物語にしたものです。
 4年前に買っていたのですが,「読みたい」という機が熟すまで寝かせておりました。

 読み始めたら,面白のなんのって100ページぐらい一気に読んでしまうぐらいです。
 と言いながら,まだ半分ぐらいしか進んでいませんが,今まで知らなかった宮沢家のことがよくわかってきました。
 父,政次郎(まさじろう)は明治の父親ですが,こんな子煩悩な父は令和の時代でも珍しいのではないかと思うほどです。
 賢治はというのと,ダメ息子です。
 父親に,金の無心ばかりしています。
 文章も下手くそだと書かれてあります。

 それに対して,意外だったのは,妹トシ。ものすごい文才の持ち主です。結核で亡くならなければ,賢治以上の物を書いたかもしれません。

 という話を妻にしたら,「今度映画になるらしいよ」というので,調べたら,たしかにそうでした。
 来年のGW公開予定だそうです。父役は役所広司,賢治は菅田将暉が演じます。
 

 さて,妹トシですが,20歳頃の時,高齢になり傍若無人な態度をとるようになった祖父に手紙を出しています。この手紙が素晴らしいんです。
 父,政次郎は,これ何度も何度も読み,感嘆したと書かれています。
 (肝心の祖父には見せなかったそうです)
 その中の,一部を紹介します。

 御祖父様何卒御願ひ申し候 只一日の御日暮しなりと,よくよく「私はよい事ばかりしただらふか」と御考へ遊ばされ下さらば誠に私ばうれしく有がたく存じ候 御考へ下さる時に「ナニよい事ばかりでもないけれど人もこうして居る」。とか「もっと悪い事する人もある」とか云ふ事ば最も悪き邪魔者故これらは全く御考へにならず,只自分は今日怒りの心を起こさなかったか,恨みや憎みをしなかったか,物欲しい,ああして貰ひたい,こうなり扱って貰ひたいと云ふ貪る心をおこさなかったか,等すべての御心持を少しの飾りもなく,云ひわけの様な卑怯な庇ふ心もなどよくよく御省み遊ばしてばいかがに御座候や

 「今日怒りの心を起こさなかったか,恨みや憎みをしなかったか,物欲しい,ああして貰ひたい,こうなり扱って貰ひたいと云ふ貪る心をおこさなかったか」


 この部分は,「雨ニモマケズ」の
 「慾ハナク 決シテ瞋(いか)ラズ イツモシヅカニワラッテヰル」  と似ているように思いました。

 賢治がこの手紙を読んだかどうかはわかりません。
 賢治もトシも,「欲」を持つことを戒める言葉を使っていることから,宮沢家がずっと持っていた家訓のようなものかもしれません。

 さて,これから後半になり,トシの病が悪化し「永訣の朝」が誕生するのではないかと思います。それを思うと,読むのがつらくなります。
 それでは,今回は,これで失礼します。