告白
湊 かなえ
買っておいて読んでなかった本。
読み終えてから知ったのですが、映画化してたんですね。
いやいや、この映画化は難しいでしょ。
Amazonで見れそうなので、後日見てみる。
衝撃ウケたら追記します。
あ、この記事、長いです
※思いっきり
内容に触れます。
思いっきり
ネタバレします。
メチャクチャ
ご注意下さい。
目次を見るとイロイロな人の『告白』の短編なのか、長編なのか不明。
第一章 聖職者
女性教師の独白的な雰囲気で始まる。
終業式で担当クラス生徒を前にしての『告白』だ。
告白と言うよりも独白と言うべきか、聞く人がいるが独り言かのようだ。
止める理由が「あの事」、教師になった訳、夫と娘の事、娘の死、セクションごとにテーマが分かれているがその最後に毎回衝撃的な1文がかかれる。
この1文が衝撃と次へのドキドキに繋がって、読むのが止まらない。
何かこういう手法に名前があってもいい感じだ。
そして生徒が娘を死に導いた、直接の対話後も警察に言わず。
そして最後はHIV患者(夫)の血液を犯人ABの飲み物に混入させたって・・・・
飲物からだと感染率は低いだろうけど、知識の無い昔なら触っただけで感染しちゃうぐらいに思っていたであろう。
ここで終わるのか?続くのか?
第二章 殉教者
冒頭で続きだとわかり、教師の名前、教師の娘を殺した(?)二人の名前がわかる。
クラス委員女子美月ちゃん(北原美月)による悠子先生(森口悠子)への手紙だ。
内容は裁きを受けた生徒、直くん(下村直樹)と修哉くん(渡辺修哉)、周りの生徒と新しい担任による「その後の姿」だ。
直くんはひきこもり、修哉くんは登校しいじめにあう。
新担任は「自分が生徒と向き合っている様に見せている事に酔ってる」感じであからさまに見抜かれる人。
直くんはそんな新担任の週1家庭訪問にウンザリ。
それは愁子先生の復讐について周りは新担任に、直くんは母親に言っていない事で余計にめんどくさい方向に。
行くとこまで行っちゃった直くんが母親に殺した経緯と復讐の話をした。
でも、子供が望んでいる様な母親の反応では無かった。
母親は無理心中をしようとしたが、直くんは母親を殺してしまった。
なんだか全ての悪いパズルがハマって行く様で、どんよりしすぎだ。
第三章 慈愛者
章が進むと『告白』する人が変わるので一連の同じ事象でも目線が変わる。
また時系列も進み、そして見えなかった事実が徐々に明らかになって行く。
次は誰だ。
直樹の姉だ。
これまた全然違う目線だが、彼女を通して直樹に殺害された母の直樹に対する慈愛の心情が彼女の「日記」として語られる。
森口が事件の話をしても、直樹本人が罪を語っても、どこかで「息子は間違っていない、誰か(森口や渡辺)に騙されたり罠にはめられたりしてるのではというスタンスで日記に語られている。
意図しない言葉を語られても信じられず、表面上で親切にしてくれる新担任にはいい印象を持つ。
恋は盲目とは言いますが、子供への行き過ぎた溺愛も何も見えなくなるのかもしれないと思った。
その日記には彼女の気持ちも書かれていますが、それよりも息子である直樹の行動も記されていて、それはそれでちょっとショッキングだったりした。
父親は家族に関して全く何も知らない様な感じではあるが、セリフの内容としては「実は真っ当な事」を言っていて、逆にクールで引きすぎたポジションを感じ、直樹と両親の位置関係が何となく感じられた。
日記の最後は家族への言葉と無理心中をすると言う内容。
姉もまた弟のために正当防衛で無罪にならないかと思う。
ここまでで、同じ事件を違う目線で(違う人への感情移入で)全く違う感じにとらえられるのは面白く、最近よく耳にする「事実は一つ、真実は人の数だけある」的なのも感じられる。
第四章 求道者
冒頭の文で、心神耗弱とかで病院入りした直樹かなと想像。
ビンゴ。
ほとんどの事を忘れていて(恐らくショックが大きくて)、過去の自分の姿を白い壁に映った「自分に似た誰か」の映像として見ていて、その内容が語られている。
しばらくは生い立ちと母親像を確定させる内容。
マザコン扱いされていた直樹も、先にも書いたが母親の溺愛にてそう見えてしまったのかも。
この章で殺害のシーンが目に浮かぶ程ハッキリとする。
修哉との間がどの様な関係だったかも明らかになる。
二人が密になり実行し他人視するまでが修哉に仕組まれた事だった。
だが、直樹は自分が大丈夫だと思いたいからなのか都合のいい様に解釈する。
多分、自分が壊れない様にするための本能的なモノなのかもしれない。
そこから森口教諭の家庭訪問での様子、終業式、新学期での引きこもり、今度は逆に全てが森口に仕組まれている復讐なのではとマイナスに想像してしまう。
最後にはあながち間違ってはいない事になるが、心の振れ幅が一番大きく表に出ていたのは直樹だ。
どんどん追い込まれて行く様子は文面から迫る様に感じられる。
そして母親の無理心中からの母親殺害で映像が終わる。
直樹は夢かもしれない、早く起きて母親の朝食を食べて学校へ行かなくては・・・・と思う。
ふり幅デカい。
なんだろう、一番心が重苦しくなった章でもあった。
第五章 信奉者
「遺書」のボールドの中見出しから始まる。
え?遺書を書くポジションの人って修哉以外みんな死んでるけど、修哉はそんなキャラでは無いし、なんだ?
と思ったが修哉のターンなのはすぐわかる。
だが、何故「遺書」なのか謎を抱えたまま始まる。
するとすぐに全校生徒が集まる二学期の始業式で自分ともども全部爆破させる計画だったからとわかる。
そしてこの遺書は自分のウェブサイトに発表する感じで書かれている。
だが、そもそも人を巻き添えで自分が死ななくてはならないのかが謎だ。
まず修哉は事件(爆破計画)の動機を語り始める。
母親の親としての姿と研究者としての姿を天秤云々から母親からの虐待、離婚、父の再婚から実質追い出されるまでの心情を語る。
それでも母への愛情は残っていた、と言うよりも母親に愛されたい気持ちが残っていた。
彼の一連の行動であるウェブサイトでの自分の研究発表、研究で賞を取る、森口の娘の(結果)殺害、そしてこの爆破計画、全てが母親に認めてもらいたい・自分を見てもらいたいと言う願望だけだった。
恐ろしい。
恐らく彼にとっての最大の誤算は自分一人で行動しなかった事かもしれない。
直樹を「いい様に使おう」としたのが仇になったのだろう。
さらに美月の殺害も自分と母親への侮辱だったりと、ここまで来ると森口、直樹、修哉の3家族とも母親と子供との関係性が描かれているので、3つ並べると何とも複雑な気分になった。
そして決心して母親に逢いに行く修哉だったが、彼が見たのは母の再婚相手と新婚旅行に行った2ショット写真、さらにもうすぐ二人の子供が出来る事実を突きつけられる。
自分を研究のためやむを得ず置いて行った母親は、結局自分が邪魔だっただけなのかとショックを受ける。
それが爆破計画の理由だった。
身勝手だ。
そして計画実行。
不発、計画失敗?
仕掛けた爆弾が無くなってる、まさかママが?
そして携帯に着信が・・・
とスリリングな終わりで次章へ。
もうドキドキしつつCMまたぎです。
第六章 伝道者
電話の相手はママ・・・・・・じゃなく森口だった。
ゾクッとした。
森口は修哉のサイトの遺書と言う名のママへのラブレターを読んで、夜のうちに爆弾を撤去していた。
そしてここから森口の再度の「告白」が始まる。
修哉がどれだけおろかな事をしていたかを語る
牛乳に混入させた夫の血液は、その行動に気が付いた夫が安全な物にすり替えていた。
修哉が馬鹿にしている、馬鹿にするような人に実は生かされている事を自分はわかっていない。
新担任は夫の教え子でたまたま修哉達の新担任となった事で、情報を入手し、直樹宅への家庭訪問をアドバイスとして進め事実上それによって直樹を追い込んだ。
警察への通報でもうすぐ美月の遺体が発見される。
そしてウェブサイトの内容、娘の殺害、直樹の事など全てを母親に逢って伝えた。
もう、ここまで来るとクライマックス感Max。
しかも森口はサイレンが聞こえる、学校の近くから電話しているとは!
そして最後に背筋が凍った。
撤去した爆弾は母親の研究所に置いて行ったと・・・・・・
ヤバイ作品です。
全然、シャンシャンで終わんないよこれ。
も~ どんよりよ。
これさ、これから演奏しに行くって言う電車の中で読み終えてさ、どうしたもんかと思っちゃいましたよ。
しかも超愛に溢れる曲と超陽気な曲だって言うのに
で、すぐに映画化した作品も見ました。
後半に行くにつれ原作とずれる箇所が多くなりますが、上手くつじつま合わせてる感じですが、最後の爆破シーンは無くてもいい気がするが、修哉の作った逆回り時計との関係とあの時ああしていれば的な事を入れたかったのかな。
それよりも直樹のターンで一瞬でもコケティッシュなシーンを入れたのが個人的には嫌だった。
とことん暗く作ってくれればよかったのにとは思った。
ん~
湊かなえ作品はなんか引き込まれますね。
時々読むとぐっと入っちゃいますね。
ランキング参加中!