さて問題の7号台風が関東に接近する
夜の部の歌舞伎座
「狐花」
「ミステリー界の鬼才・京極夏彦が書き下ろす新たな謎解き物語」
とあるし、
配役も
幸四郎、七之助、勘九郎、米吉、染五郎、橋之助⋯
いい役者が勢揃い、これで期待しないほうがおかしい。
でも前日に歌舞伎通の方のブログを読んで(はて?)と思った。
その人が(よくわからなかった)と書いている。
そして今日の新聞記事。
説明的な長台詞が続き、
配役はいいのに歌舞伎としての良さが出ていないとあった。
見る前からこんなマイナス情報が入ってしまったのに、台風の真っ只中の夜に見るのだ。テンション下がる。
帰りの電車が動いているかも心配。
喫茶店で3人待ち合わせた。
結論 → とても良かった。
ベストいくつかに入る名舞台だった。
2人の友達も同じ感想だった。
確かに コナンではないが、 謎解きが複雑で、よほど
注意深くセリフを聞いて
頭の中で繋ぎ合わせていかないと
わからなくなりそうだ。
一面の彼岸花の場面が何回か出てくるが、それは美しく、幻想的で、異界に連れて行かれる。
彼岸花は好きな花だ。あの複雑な造りの花が何百本、何千本?とある。全てが手作りなのだろうか?その苦労を思う。素敵
人物の関係が複雑で
あとからだんだんに絡んだ糸がほどけてくるようだ。
幸四郎が主役かと思ったが、私的には七之助が主役だった。
まさか まさか が次々発覚
まさか萩之介とお葉が同じ人物とは!
まさか萩之介とお嬢様の雪乃が双子とは!
まさか幸四郎の洲斉と萩之介が兄弟とは!
まさか最初の場面の赤子が洲斉とは!
まさか忠義者の染五郎まで殺してしまうとは!
彼岸花の舞台には目を見張ったが、
もう一つ、火事になる場面がみごとにリアルだった。
障子がめくれて、後ろの赤い布地の(炎)揺らがどんどん激しく大きくなり、
屋根の梁がガタンと傾く⋯
よくできていて憎い。
裏方さんたちに拍手!
単純に言えば仇討物だが
狐の異世界、
妖かし、幽霊
⋯などの要素もたっぷりで
夏の舞台にぴったりだ。
物語とは直接関係ないが
勘九郎に感銘したことがある。
一部の幽霊、二部の新三、 そして三部の監物、声も表情も演技もまるで別人で、
役になりきっていた。見事だった。
そして勘九郎と七之助のセリフはとても聞き取りやすくてわかりやすい。
それに比べて幸四郎は
かろうじて聞き取れるが
2人に比べると声が小さくて細い。
大型台風が関東に大接近の夜、 歌舞伎を観る人が大勢で
満席だった。
友達と帰る時に
「銀座でビジネスホテル探して彷徨わなくてよかったね」
と日比谷線に乗り込んだ。
帰りの電車はどれも空いていて順調だった。
いい舞台を見られて満たされました。