アカデミー賞主演女優賞と
キネマ旬報の主演女優賞の
両方にノミネートされていた「市子」
の杉咲花。
最優秀は取れなかったがどちらも2位だった。
52ヘルツのクジラたちの杉咲花の演技は素晴らしくて
「市子」も見てみたい衝動に駆られた。
一箇所新宿シネマカリテしかやっていない。しかも夕方の5時過ぎ。
それでも出かけた。
それまで時間があるので同じ映画館で
「テルマとルイーズ」を見た。
これが棚ぼたで とてもいい映画だった。
この感想は省く。
市子は戸籍のない無国籍の子。
長谷川からプロポーズされてポロポロと
涙をこぼす。この涙が意味するもの…
これまでの人生で一番の、市子にもやってきてくれた幸せの重みを支えきれないように流れる涙…その深い意味がだんだんにわかってくる。
なのに、プロポーズされた翌日姿を消してしまう。
そして幼馴染や、学生時代の知り合いや、様々な人が語る事によって市子の
つらく悲惨な人生が明らかになっていく。
長谷川は諦めずに、次々と関係者を訪ね
歩いて真実に近づいていく。
杉咲花の、諦めたような突き放したような淡々とした口調や表情…だからこそ
重すぎる罪や悲しみや苦しみが大きく
見る者の想像をふくらませる。
無国籍も辛いが、貧しい生活で難病患者を支えるのは並大抵ではない。
声高には何も訴えてはいないが、
日本の国の冷たさや、格差も感じてしまった。
52ヘルツのクジラの時も
志尊淳が支えた。
市子も若葉竜也が確かな愛で支える。
杉咲花はいい男に愛され支えられて、
美しく輝いた。
私の中では、最優秀主演女優賞は
杉咲花だ。