前回までのストーリー↓



夫が失踪して丸5日が経った

どこを探していいかも分からない

生きてるのか
死んでるのかも分からない

ただ私は待つ事しかできなかった



昼頃
滅多にならない
家の電話が鳴った


私と義母に緊張が走る

義母「もしもし、、、分かった」


義母が何やらメモを取ってる

どこかの住所だ


10秒にも満たない電話だった

(後から知った事だか、見知らぬトラックの運転手に10円だけもらったらしい。
そのおじさんは、夫の姿を見て同情してくれたらしい)

義母「〇〇(旦那)からよ!今ここにいるから迎えに来てって!」

私は夫が生きていた安堵感で
いっぱいだった

この時何を言ったか
泣いたのか?
ほとんど覚えてない

でも、安堵した事だけは
はっきり覚えている


財布と携帯を持って
急いで車に飛び乗った


1時間半くらいだっかな、、、


言われた場所に行ったが
夫の姿がない

場所を間違えた?
それともまたどこかに消えた?

また不安が走る


近くのコンビニに
義母が場所を聞きに行った

戻ってきた義母

義母「確かにここに居たみたい。
ここの公衆電話からかけてたみたい。
〇〇の様子が心配で、店員さんがおにぎりと缶コーヒーをあげて、身体も濡れていたから毛布を渡したみたいで、しばらくここで待っていたみたいだけど、なかなか私たちがこないから、自分は見捨てられたと言ってまたどこかにいっちゃったって。
店員さんは止めたみたいだけど、出てっちゃったって、、警察に電話したみたい」


まだこの辺にいるはずだ!!

車を走らせる


ふと反対側の歩道をみると
人が一人
おかしな姿で歩いていた


毛布にくるまり
やたら猫背で
老人のように歩いている


よーーく目を凝らしてみると


「!!!!!!」

夫だった


その時パトカーとすれ違った


パトカーはさっきのコンビニで停まった




私達は車を停めて
急いで反対側の歩道に向かった


他の車の事も頭にない私は
道路を横断しようとした

その瞬間
義母「育ちゃん危ない!!」

ただ、反対側の歩道に行くことしか
頭になかった私は
車に轢かれそうになった

母のその声に
はっと我に帰った


反対側から大声で
「〇〇!!(旦那)」
叫ぶ私

その声に気づいたのか
こっちを振り向いた夫


5日振りに見た夫は
全く別人のようになっていた



この日の午前中
雨が降っていたせいか
びしょびしょに身体は濡れていた


私は夫を車に乗せた

コンビニにいた警官に
母が事象を話す


しばらくして戻ってきた義母

捜索願いを出していたので
どうやら先に警官に保護されていたら
色々と手続きがあったらしいが

先に私達が保護したから
話しだけで済んだらしい、、、


自宅に戻る途中
一言も話さない夫

話さないのか
話せないのか
分からないけど

それでも生きていてくれただけで
それだけで良かった



自宅に戻り
5日間ほとんど何も食べず飲まず
過ごしていた事が心配で

病院に連れて行こうとしたが
断固拒否する夫

でも
明らかに何かがおかしい

やたら音に敏感で
目もキョロキョロしている

意味のわからない事を言う


義母が病院を探し
往診に来てもらった


誰にも会いたくない夫は

チャイムの音に驚く

誰かが家に入ってくる事を悟ると
部屋の押し入れに
隠れ出した

だが、この押し入れ
物がいっぱいで
とても大人が入るスペースなんてない

まさに
頭隠して尻隠さずの状態w


お医者さんは
その様子を見て直ぐに外にでた


医者「恐らく統合失調症だと思われます。」

私たちの話と
主人の様子を見た先生の診断

統合失調症

24年間
そんな病気を聞いた事がない私は

この後15年に渡る
病気と向いあう事になる



この時辛かったのは

夫には
私より母親が必要だった事


夜寝る時は
私は一人

夫は義母と寝る


それがこの時の夫には
一番安心する状態だった


私は泣きながら寝ていた事を
今でも覚えている

新婚
妊娠7ヶ月


だけと、だけど
生きていた
それだけでも良し


そう自分に言い聞かせて
毎晩寝ていた




そんな夫の状態を
少しでも良くしたくて
薬を飲んで欲しいのに

もらった薬で
自分が殺されると思い込んでいる夫は
断固薬を拒否



夫にバレないように
薬を粉々に砕いて
食事に混ぜる日々


夫は音と光に敏感になってる為
昼間でもカーテンを閉めて
食事中も
バスタオルで頭を隠している

常に誰かに見られている感覚なのか
ずっと顔を隠している

電気も付けず
テレビも付けず

義母とは筆談の日々


家の外で子供達が
遊んでいる声が聞こえると
耳を塞いで
唸っている夫を見ると


なんでこんな事になったのか
夫との事を振り返る日々が続いた


出産まであと3ヶ月

この子と私

夫とどう生きていったらいいのか

悩む日々だった

また普通に生活できる時が来るのか?


お先真っ暗とは
まさにこの状態のことだ





次回
出産〜何気ない日々が
本当に幸せだと実感
に続く↓