屋台はどうして一代限りなのか | 福岡の弁護士 矢口耕太郎のブログ

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こんばんは!矢口です!

今日の新聞で、福岡市の屋台が「一代限り」とされていることを見直そう、という提言をまとめたとの記事がありました。

屋台は、私も東京から友達が遊びにきたときに良く連れて行っています。

ただ、福岡市以外では、今屋台はほとんどないようです。
福岡市の屋台も、今のままでは無くなる方向にあるといわれています。

今日は、どうして今の規制で「屋台は原則として一代限り」「屋台の新規参入は認められない」とされているのかを少しお話しますね。

「屋台」は、道路や公園などで営業しているのが特徴です。

本来は、道路や公園というのはみんなのものですから、誰かが一人で使おうと思っても簡単には使うことができません。

道路や公園を使うためには、「道路を使用する許可」を警察からもらうことと、「道路を独占して使う許可」「公園で屋台をすることの許可」を区役所からもらうことが必要です。

それと、食べ物を扱いますから、「営業することの許可」を保健所からもらうことが必要です。

このいろいろなところから許可をもらうこととの関係で、今の規制ができました。

まず、平成7年に福岡県警本部が「新しい屋台営業のための道路使用許可は原則として認めません!」ということを議会で答弁しました。

このために、新しく屋台を始めようと思っても、警察から許可がおりなくなりました。

さらに、この流れを引き継いで、福岡市は「屋台指導要綱」というものを作りました。

この要綱の第11条と第12条で
「屋台営業者の占用許可に係る権利義務は,承継できない。」「他人に譲渡することができない」という原則が定められました。

これがどういうことかといいますと、今屋台の営業をしている人が、区役所からもらっていた「占用の許可」を子どもや誰か跡継ぎに譲ろうとしても、譲ることができなくなったんですね。

しかも、今の「屋台指導要綱」を見ると、区役所に許可をもらうための書類に講習会の受講証明書が必要ですが、その講習会が屋台を新しく始めようとする人を対象としていないので、受講証明書を出すことができません。ですから、新しい人は参加できないんですね。

どうしてこのように「原則一代限り」「新規参入不可」というようになったかといいますと

「屋台を認めていると道路の通行の邪魔になったり、公園で自由に遊べなくなったりする。」
「屋台はくさいし、排水を道路に垂れ流して汚い。うるさい」
「私は高い家賃を払ってお店を開いているのに、屋台は安い許可料でずるい」

といった事情を考えて

基本的に道路や公園はみんなのものだから、毎晩毎晩独占的に誰かが使うことは許されない。ただ、昔から屋台をしている人をいきなりやめさせると生活に困るだろうから、今やっているひとだけは例外的に営業させてあげよう。」というように考えたことにあります。

だから、今のままだと、いずれ屋台は無くなっていく方向にあるとされているんですね。

ただ、「屋台は福岡の観光名所なんだ!」という声が上がるようになってきました。

このように考えると、「屋台は誰か1人のためだけのものでなくて、福岡のためにも役立つ公共的な要素をもつ」ことになります。

こういった要素が強くなると、「やっぱり屋台を残すためにも、新規参入を認めたほうがいいのではないか」ということになってきます。

「新規参入できない」「原則一代限り」というルールは、法律ではなくて行政が作っているルールなので、例えば市が条例を作って、「こういう場合には警察は許可する」「こういう場合は区役所は許可する」といったルールを作れば、屋台は残ることになります。

衛生面のルールをどうするかということや、通行の邪魔にならないか、ルール違反をした場合の対応をどうするかということ等が今検討されているようですが

これからの動きを、注目していきたいですね!