漢(おとこ)の少なくなった日本 リーダーの条件 | 『日本史編纂所』・学校では教えてくれない、古代から現代までの日本史を見直します。

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従来の俗説になじまれている向きには、このブログに書かれている様々な歴史上の記事を珍しがり、読んで驚かれるだろう。

漢(おとこ)の少なくなった日本
リーダーの条件



「女日照り」という言葉が在る。女が少なくなって男が困るという意味だが、近頃の政界を見ると「漢(おとこ)日照り」で腹の座った覚悟を持った国会議員が皆無。
国会で、記者会見で、知らぬ、存ぜぬ、覚えがない・・・これでは全く自民党議員は「ボケ老人集団無責任政党」でしかない。

そして岸田首相を筆頭にリーダーが居ない。
安部派の大幹部だとか、二階派の幹部で「将来の総理候補」と、提灯持ちマスコミに持ち上げられた面々は、一皮むけば情けない無責任男の集団だった。
さらに、河野、小泉、石破などの総理候補は、無関係を装いノンポリを決め込み全く見苦しい。
自民党の窮地に対し、「自民党のためだ。俺が責任を一身に背負い政界を去る」こうした覚悟の人間が何故出ない。

例えばリーダーの資質として往々にいかなる理想を抱いているかが問われたり評価もされるが、岸田首相にもその他の総理候補にも、全くそれが見られない。
リーダーは組織の先頭を切って目の前の現実と闘わなければならないのであって、その闘いに勝つためには何よりも冷厳な現実家でなくてはならない。
岸田首相の今回(5月31日)公明党、維新との譲歩にしても、これは決断と云わず「妥協」でしかない。

そして、TPOに応じて求められるリーダーとしての要件はさまざまあろうが、何よりもまず大局を見通すという眼力。
そしてそれに応じての判断力、決断力、さらには未曽有の試みであろうとそれを思いつく想像力、創造力。

 今直面している問題、あるいは危機の背景にある大局とは何なのかという判断認識なしに物事への的確な対処は出来るはずがない。毛沢東の方法論の『実践論・矛盾論』の中に実に的確簡潔な叙述がある。彼は共産党政権を盗るため、中国史上始まって以来、自国民数千万人の虐殺をしたが、目的達成のため実に的確な事を言っている。

 彼は目の前にある解決をせまられている厄介な問題を「従属矛盾」と呼び、さらにそれをもたらしたその問題の背景にある大きな矛盾を「主要矛盾」として、その主要矛盾への認識とその是正への試みなしには本当の問題解決はあり得ないとしている。

 これはしごく当たり前の論のようで実はなかなか心得られない認識である。大方の人間は目の前の問題解決に腐心はするが、その背景を把握しないと本当の解決の術に必要な有効な試みも実践もままならない。
 それを獲得するために必要なものは所詮人間の感性であって、勘の悪い人間に何を期待してもどうにもならない。
その勘の養成には頭の自由な回転が必要で、頭を自由に回転させるために何か必要かといえば、それは仕事以外のことに興味を持って頭を使うことだろう。つまり何か自分の専門以外に趣味を持つことだ。

政治家が趣味を持つことは、外国の首脳との対話において有益な要素となることがある。
何故なら、かって小泉総理がアメリカのブッシュ大統領と会談した時、「ラブミーテンダー(優しく愛して)」と馬鹿な歌を披露し、属国日本を世界に晒した、屈辱外交を展開するような「愚行」を避けられるから。
注・前提条件は流暢な英語力が絶対必要。
先ず、趣味は人々をつなげる力を持っているから、外国の首脳と会った際、趣味の話題はアイスブレイクとして役立つ。
共通の趣味を持つことで、お互いに興味を持ち、自然な会話が生まれやすくなり、これは対人関係を構築する上で重要な要素である。例えば、音楽が趣味の政治家が、外国の首脳と音楽の話題で盛り上がることで、信頼関係を築きやすくなる。

さらに、趣味は文化的背景や価値観を理解する手段となり、外国の首脳との対話において、相手の趣味を知ることは相互理解を深める一助にもなる。
相手の国や文化に対する理解を深め、協力の機会を見つけることができ、問題解決に向けた協力がスムーズに進むこともある。
相手の人間性や個性を知ることができ、冷静な判断や柔軟性を持つことで、これは問題解決において重要です。
総括すると、政治家が趣味を持つことは、外交的な対話において相互理解や信頼を築り、問題解決に向けた協力を促進する一助となる。

日本の政治家の多くは、世界歴史、文化史、芸術などの分野に弱く「(玉っ転がしの)ゴルフが趣味」では、世界の首脳と太刀打ちはできない。
世界も語れず気前よくODN(金)をばらまくしか能のない政治家では世界の海千山千の猛者たちと太刀打ちなど到底無理。
例えば、プーチン大統領は、伝統的なロシアの歴史、ロシア正教からヨーロッパ史まで遡り勉学し理論武装していることが彼の演説や論文から窺われる。
こういう男と議論するには、ロシアの正統性に一定の理解を示しつつも、その論理矛盾を指摘し、国際法や国際連帯の重要性を地球人類平和論にまで昇華しての議論が必要になる。
北方領土返還交渉もこうした壮大な世界観からのアプローチが有効だったが、残念ながら故安部氏には無理だった。
激動する見えぬ未来を、「混沌」と「檄」の時代の政治家は「生きるも死ぬも世直しの為。なに惜しからん我が命」こうした志の人物の出現こそが待たれる。