パソコン・メモリー増設の可否
豊かなPC生活の為に
(メモリーとは、作業机のような概念で、机上は広すぎても狭くても、作業に影響を及ぼす。机で様々なプロジェクト作業を同時に行える。机が大きいと沢山の資料、フォルダ、タスクを一度に広げられ、それにより情報に素早くアクセスでき、ストレージドライブに探しに行く必要がない)
先日、町内会の会計係から「PCメモリーの増設」についての相談が在った。
私はITのプロだから、ボランティアで町内会や商店、会社の「PCアドバイザー」をやっている関係で、様々な相談を受ける。
PC普及の初期、1990年代の相談は、「スイッチを入れてもPCがつかない」などの電話がよくあった。
「今PCは立ち上がってますか」と聞くと、「いいえ、座ってます」など笑い話もあった。
「スイッチを入れてもPCがつかない、早く来てくれ」と悲鳴を上げているから、行ってみると電気のコンセントが入っていないという、馬鹿気た状態にもぶち当たった。
現在はさすがにこんな事はなくなって、皆さんだいぶ腕は良くなってきたが、それでもPC本体、ソフト、ネットワークのトラブルに関する相談は絶えない。
今回のメモリーについても「純正品では何が良いのか」という。この人は私のPC教室の生徒で、ワードやエクセルはマクロもできるかなりの腕だが、こんな質問ではPCの何たるかを全く理解していない。
そもそもPCには「純正品」など無いのである。例えばDELL社のPCを例にとると、マザーボード(主回路版)はエイエース、CPUはインテル、メモリー(RAM)はサムスン、
ハードドライブ(SSD)はサンデスク、その他電源ユニット、冷却ファン、光学ドライブ(CDやDVD)、サウンドカード、ネットワークカード、モニターはレノボ、等々全て寄せ集め製品を組み立てられている。
従ってDELLの純正部品といっても極端な話パネル位のものだろう。
だからある程度PCに精通した人間は、PC自作の際、秋葉原などの電気屋で部品を買い集め、設計図通り作れば量販店値段の半額にも満たず組み立てられるのである。
私も1990年代の頃は何台も組み立てたものである。ある意味プラモデルより時間は掛からないし、組み立ての基本ははめ込みとビス止めだから簡単でもある。
現代のPCはWindowsを立ち上げただけで、メモリー8G搭載のPCなら40から50%のメモリーを使っている。
この状態からワードやエクセルのソフトでデータ入力やネット閲覧を同時に行っても70%ぐらいの使用になる。
これでPCが重くなったり、変なメッセージが出なければ何の心配もない。
思考方法として「70%も使っている」と考えず「まだ30%も余裕がある」と考えるのである。
しかし、ネットでyou Tubeを次々と開いたり、高速ゲームなどを実行すれば、100%になり、先述した「メモリーが足りません!」などのメッセージが出て、PCは重くなる。
メモリーを増やす方法は何種類かある。
(一)は仮想メモリーを増やす方法である。これはHDDやSSDの容量の一部を仮想的にパネルやメモリーに割り当てて、メモリー容量を増やす。
(二)はメモリーの解放である。メモリーの中に溜まった不要な情報を消してメモリーの容量を増やす。
(三)はスタートアップの不要なアプリを削除か、停止にする。裏で動いているアプリの数は多く、PCを立ち上げるだけで勝手に立ち上がり、余分なメモリーを喰う。
(PC購入後は30から40の不要アプリが在り、この作業をすぐ実行するとよい)
次に、PCのメモリを増設する基本的な手順は以下の通りになる。ただし、PCのモデルやメモリの種類によって手順が異なる場合があるので、PCのマニュアルを参照するか、専門家に相談することを勧める。
(メモリー増設の物理的方法は簡単で、PCの裏ブタを開け、二枚のメモリーを外し、新メモリーと交換する、ただこれだけである。しかし、最新テクノロジーのPCにも「相性」という概念があり、これが何とも厄介で、専門店にPCを持ち込みメモリー交換してもらうと一定時間「養生」をする。
何故なら同じメーカーの物と交換しても前記の相性が悪いと、PCに様々な不具合が起きるため、一定期間使用してチェックする必要がある。これに24時間は必要になる。)
メモリー増設の手順
(一)、PCをシャットダウン:作業を始める前に、PCを完全にシャットダウンし、電源コードを抜く。
(二)、PCケースを開ける:ほとんどのデスクトップPCでは、ケースの側面パネルを外すことで内部にアクセスできる。ノートPCの場合は、底面のパネルを外す必要がある。
(三)、既存のメモリを確認:メモリスロットを確認し、空きスロットがあるかどうかを確認します。空きスロットがない場合は、既存のメモリを取り外して新しいメモリに交換する必要がある。
(四)、新しいメモリを取り付ける:新しいメモリモジュールをメモリスロットに正しく挿入する。メモリモジュールは一方向にしか挿入できないので、強制的に押し込まない。
(五)、PCケースを閉じる:メモリの取り付けが完了したら、PCケースを閉じて電源コードを再接続します。
(六)、PCを起動:PCを起動し、新しいメモリが正しく認識されているかを確認する。
以上の手順は一般的なものであり、具体的な手順はPCのモデルやメモリの種類により異なる。また、作業中に静電気による損傷を防ぐため、静電気防止ブレスレットの使用を推奨する。
さてここまでが「物理的」手順だが、この前に自分のPC内部のシステムから入りバージョン情報を調べる必要がある。
図のようにバージョン情報に書かれている、実相RAM が8.00 GB (7.85使用可能)見ると、このPCは現在8GBのメモリーが入っていることが解る。
次にスロットの使用が2/2 の意味はスロットに4GBのメモリーが一枚づつ2枚入っていることが解る。
最近のPCは殆どがデュアルチャンネルで、8Gのメモリ1枚より、4Gのメモリ2枚差し込むほうが速度が速くなる利点があるので複数スロットになっている。
(写真のようにデスクトップPCでは4枚も差し込める)
次にバージョン情報のIntel(R) Core(TM) i7-10510U CPU までをコピーし、インテルのHPにアクセスしメモリーの種類を調べる。するとDDR4-PC4-21300と出てくるが、これがこのPCのメモリー規格だということが解る。
これをアマゾンや楽天で打ち込むと実にたくさん出てくるので、これらサイトから購入するか専門店で購入するという流れになる。そして先の手順で基盤に差し込む。
4G、8G、16G、32G とメモリーの搭載量4の倍数になっているが、通常は8G、ないし16Gあれば十分である。
ここは、デジタルの専門サイトではないので一部の説明は省いたが、それでもメモリーの何たるかは理解できたと想われる。
メモリーやハードデスク交換ぐらいは、自分で出来るように勉強して欲しいものだが、
機械は、必ず故障したりトラブルが起こる事を常に念頭におき、使用することが大切である。
先頃WindowsにAIが標準搭載されるという情報が在った。150もの便利機能が追加され、今はプレビューリリースだから自動更新されないが、Windows updateの自動更新設定で使用できるようになる。
デジタル世界は日々発展している。時代が変わる音がしてきた今、楽しいPCライフを満喫してもらいたい。
最後に特に若い人の為、豊かなPC生活を送ってほしいという老婆心から「PC上達法」を記しておく。
PC上達方法
先ずPCは汎用品だという事を理解してほしい。電子レンジや冷蔵庫は専用品だから「蓋を開ける。温度、時間設定」と覚えるだけで良いが、汎用品には様々なパターンが在り、それを「覚える」ことは無理なので、兎に角触りまくり体感として己のものにすることである。簡単に壊れる物ではないので恐れず、様々なアプリを開いてその感覚を覚えることが大切。
一つのアプリ、例えばペイントブラシでも、ワードなどとことん習得し、その感覚を身につける。
windowは大体同じ操作なので、それを体にしみ込ませるのである。
トラブルが起きた際、すぐ人に聞く前に、先ずは本やネットで調べるという習慣を身に着ける。
突然見慣れないメッセージが出ても、慌てず英語や数字の部分をよく読んで、Googleなどで検索する。
ある程度調べてもだめだったらサポートに頼り、問題をそのままにせず必ず解決する。
見慣れぬサイトに踏み込んだ途端、突然ピーピー音と同時に「あなたのパソコンはウイルスに感染しました。除去するにはここをクリックして」などという事もある。
こんなのは、詐欺サイトだから全く恐れることも慌てることもない。
キーボードの「Ctrl+shift+Esc」を同時に押すとタスクマネージャーが立ち上がる。その中の見慣れないアイコンを終了すればいい。それでもダメなしつこい奴はPCのスイッチを切る。
PCやネットを体系的に学ぶため、情報処理試験に挑戦するのも勧めたい。以下に幾つか紹介したが、プロになりたい人はこの中の少なくとも四つは必須だが、ユーザー側の資格としては「ITパスポート」が良い。これにより技術が格段に上達することは無いが会社の同僚や知人とITに関する会話がスムーズで、新知識の習得にも役立つ。
● ITパスポート(IP)
● 情報セキュリティマネジメント(SG)
● 基本情報処理技術者(FE)
● 応用情報技術者(AP)
● ITストラテジスト(ST)
● システムアーキテクト(SA)
● プロジェクトマネージャ(PM)
● ネットワークスペシャリスト(NW)
● データベーススペシャリスト(DB)
● エンベデッドシステムスぺシャリスト(ES)
● ITサービスマネージャ(SM)
● システム監査技術者(AU)
● 情報処理安全確保支援士(SC)
現代社会では、パソコンが生活や仕事の中心的な役割を果たすようになった。社会人にとって、パソコンは必要不可欠なツールであり、日々の業務や情報収集に欠かせない存在である。
世の中は複雑化し問題山積状態で「若者」にとって生き辛い現状だが、この記事が、スマホと双璧をなすPCを自由自在に駆使し「豊かなPC生活」に役立てられれば幸いである。