憲法改正もできない日本 | 『日本史編纂所』・学校では教えてくれない、古代から現代までの日本史を見直します。

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従来の俗説になじまれている向きには、このブログに書かれている様々な歴史上の記事を珍しがり、読んで驚かれるだろう。

衆院憲法審査会は11日、今国会初となる自由討議を開いた。
その中で自民党の中谷元防衛大臣は会見の原案作成の協議を行う環境を早期に整備することを提案するとし、
協議会を立ち上げるよう求めたが、立憲民主党の逢坂代表代行は自民党派閥の裏金事件について、自浄作用のない自民党が改憲を論ずることに正当性があるのかと批判し、
岸田首相が目指す9月までの総裁任期中の憲法改正は困難な情勢となってしまった。

先ず、日本が憲法を改正するための手続きをおさらいしてみよう。

①、議員提出: 衆議院では100人以上、参議院では50人以上の議員の賛同が必要で、これにより憲法改正原案が国会に提出される。

②、憲法審査会での審査: 提出された原案は、衆参両院において、憲法審査会で審査を経まて、 出席委員の過半数の賛成で可決される。

③、本会議での審議: 憲法審査会での審査を経た後、それぞれの本会議にかけられて、 総議員の3分の2以上の賛成で可決される。

④、国民投票: 両院の本会議で可決されると「憲法改正案」となり、国会が憲法改正の発議を実施する。 国民投票では、満18歳以上の日本国民に投票権が与えられ、憲法改正案ごとに一人一票投票できる。

  改正案に対する賛成が投票総数の過半数の場合には、国民から承認されたことになる。
以上が日本の憲法改正の手続きとなります。具体的な手続きについては「日本国憲法の改正手続に関する法律施行令」(平成22年政令第135号)及び「日本国憲法の改正手続に関する法律施行規則」
(平成22年総務省令第61号)で規定されている。

しかし、憲法改正についての「原案」が自民党も立憲民主党始め野党にも全く無いのが現状なのである。
そもそも改正に反対の野党も多く見通しは暗く九月までの実現など画餅に等しい。

本来は原案作成後に国民が議論し、そして国会の場で与野党が議論するというのが正しい順序なのに、安倍政権以降の十何年はそれが行われてこなかった。

自民党は憲法改正を党是として設立された党のはずが、二つか三つの案しかなく、その内容はまったくいい加減なものである。
そして①の手続きにさえ至っていないていたらくはあきれるしかない。
まずは国民自身が憲法をしっかりと読み、理解することから始めなければならない。
なにしろ、米国が憲法を作成する際に、米軍の駐留中に市井で聞いたうわさ話をもとに、例えば当主は家族をなぐってはいけないなどといった趣旨の記述を含めている。

これを書いたのは女性の米軍メンバーだったといわれるが、このような付け焼き刃的なものが多く含まれるのが今の憲法なのである。
そして日本の憲法学者は大学で高給を取り憲法研究の専門家なのに、批判ばかりして「こういう憲法にするべきだ」という青写真を全く提案しない。
たたき台となるべきものがないのに9月までに憲法改正を目指すという岸田首相順番が逆のことをやっている。

故安倍氏は憲法改正に向けて、国民投票法案、選挙権年齢引き下げ案などを表明したが、岸田氏にはどういう憲法がよいかの提案がない。
また9条を巡っては、自衛隊は軍隊であると改めたいようだが、安保3文書によれば実態は立派な軍隊である。
衆議院の憲法審査会は全く仕事をせず、国民は考えることを放棄している。また立憲民主党は裏金問題のほうが先だと騒いでいるがそんな茶番はどうでもよい。
立憲民主党には憲法問題についての考えを早く示せと云いたい。
新憲法は真っ白い紙に「改正」ではなく「創生」でなければいけない。九条の改正などせこい考えは捨て、堂々と軍隊も文民統制も明記し、軍法も作るのである。
そして21世紀の様々な問題を熟考し、国家とは、地方とは、コミュニテイ、家族とは会社とはその他、その他、その他について議論しなければならない。