可能性というもの論、その11。
ひとつ前のその10はこちら。
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「この子は本当はできる子なんです」
「もっと賢いはずなんです」
「だから・・・・・・W大付属に入れたいんです」
この台詞を聞いて、私と主任さんは目が点に。
だって、W大付属は偏差値70台(上位2%)が戦う舞台です。
60台後半(上位10%以内)では、太刀打ちできるかどうか。
母親は、自分の心情を吐露すると、
我々をじっと見つめます。まるで懇願しているかのように。
Sくんは、というと、所在無げな感じです。
そうですよね、本人は自分の成績の悪さはよくわかっていますから。
国語と算数の偏差値、あわせて30ちょい。
なのに、私は思わず言ってしまいました。
「どんな成績であっても可能性はゼロではありません」
「しかし、合格するためには相当の覚悟をもって当たらないといけません」
「我々も全力を尽くしますが、
お母様も我々を信じて全力で勉強させることができますか?」
コクリとうなづく母親。
顔を上げているSくん。
更にびっくりしているのを隠している主任。
私にとっては浪人時代の経験を素直に話しただけ。
そう、確率はゼロではない。ゼロでは。
その12に続く。