私は、信長・秀吉・家康の中では、信長にいちばん心惹かれます。
というわけで、前から気になっていた本を読んでみました。
ファンタジー小説大賞を取った作品です。
読んだかんじは、山田風太郎みたいな伝奇ホラー風?
山田風太郎は徹底的にエンターテインメントですが、こちらはオカルト的な知識というかネタというかがぎゅっと詰まっていてちょっと難しい。
筋といいますか…とにかく信長がアンドロギュヌスだった、という話です。
それは秘密でもネタバレでもなく、すぐわかります。(タイトルそのままだし)
どんどんライバルを倒していき、安土城を作って、それから光秀に討たれるまでの話。
敵の倒し方も、戦をきちんと描いているところもありますが、呪殺がメイン。
ところで、アンドロギュヌスとは、両性具有のこと。
信長は男性でもあり女性でもありどちらでもない存在です。
そうはっきりタイトルに書いてあるのに、私はまったく別のことを期待していたようです(笑)
なんというか、表紙のような信長は出てこないので(笑)
信長は美少年というか美少女というかそういう存在。
これが受け入れられないと、けっこう苦痛かもしれません。
私は途中まで違和感でいっぱいでしたが、どこらへんからか、これはこれで信長への愛の形なんだな、と思えて、それからは「これもありかなぁ」と思って読みました。
光秀が安土城へ訪ねてくるあたりなどは、なかなか面白かったかな。
信長が第六天魔王で云々というような話はどこかでも読んだし、そんなにめちゃくちゃ新しいとも思わなかったけれど、とにかく信長を(愛される)トリックスター的に描こうとしているところに、ちょっとした好感を持ちました。
この本では信長のことだけが語られているのではなく、アルトーやヒトラーも出てきます。
アルトーが日本人の青年から信長の話を聞く、という筋書きなのですが、これは必要だったのかな?
いい感じで戦国時代に入り込めたと思ったら、20世紀に戻ってきて延々とヘリオガバルスとか牛頭天王とか云々かんぬん読まないといけない。
著者がこういったことにすごく興味があって、とてもよく調べられたのはよくわかりましたが、正直言ってしんどかった。
特に、最初のほうに出てくる「私」の説はものすごく強引で疑問符がいっぱい。
…でも、アンドロギュヌスな信長に会いたい方は、少し我慢して進んでみてください。
最後に。
これは時代小説や歴史小説ではありません。ファンタジーです。
信長―あるいは戴冠せるアンドロギュヌス (新潮文庫)/宇月原 晴明

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