ちなみに私が十二国記について知っているのは、異世界ファンタジー。ぐらい(雑)。
小野不由美作品は、ティーンのときに悪霊シリーズを1冊か2冊読んだかな。『屍鬼』と『鬼談百景』は読みました。屍鬼はあんまり……今となってはなぜ読もうと思ったのかも覚えていません。ふじりゅう漫画になったと聞いて、原作を読んだんだっけ。ゲームがあったんだっけ。SIRENと間違ってる?? なんか忘れた。
いちばんエピソード番号の若い「魔性の子」から。
まあでも高校生なんで(中学校が違ってよく知らない子たちとか)ちょっかいかけるもんだから、とんでもないことになるうえに「たたり」はどんどんエスカレートし、高里と、彼をかばおうとする広瀬は追い詰められていく。なんにも悪いことしてないのにーーー涙 「たたり」の正体は何なのか。二人の行く末は。
このあと、ネタバレとか気にせず感想を書きます。
まずびっくりしたのが、死ぬ人数と死に方。「もう死んでもいいよね」みたいな人々ばかりでなく、ちょっとからかったとか、ただそこにいて巻き込まれただけとか、心配して忠告してくれたとか。高校生やマスゴミたちの雑魚っぷりというかモブっぷりがすごい。死に方(殺され方)も陰惨。うげえってなる。
でも、いつのまにか何かわからないモノが騎馬戦の馬になってたとか(人の形をしていたとすると、わんちゃんじゃなくておねえさんのほうかしら)、考えてみるとちょっとおもしろい笑
この巻に関してはほぼホラーでした(ファンタジーに入れたけど)。理不尽さが怪談に近いかな。
足がいっぱいあるムカデみたいなでっかい虫が出てくるのですが。あれは傲濫ではないんですよね。傲濫は表紙の赤い犬みたいのですよね。この犬も怖いけど。
暗い海からももももって出てくるヘドロのお化けみたいのも、そこで見てたら怖いだろうなぁ。あと、すごいくさそう。
なぜ高里の周りで「たたり」が起こるのか、少しずつ明らかになっていきます。どうして高里がこんなに超然としているかもわかってきます。
シリーズのことほんのちょっとでも知っていれば異世界から来た存在なんだろうな、というのはわりと早くから(最初から)わかるわけなんですが、それでも異世界にいるどういう役割の人なのか、がわかっていく過程はミステリぽくもあって面白かったです。
これでもかと起こる惨劇と、そのたびに居場所がなくなっていく高里。必死で守ろうとする広瀬(超一般人)。
故国喪失者と自分では思っているけれど、現実に戻っていかなければならない人です。つまり、読者に近い。仲間だと思っていた(思いたかった)のでどうにも見捨てられず尽くしてきたのに最後の最後にフラれる、気の毒な人です。ぜひ中2の夢から覚めていい先生になってほしい。
彼が「人でない」存在で、事故でこちらの世界に生まれてきてしまった、とわかってからは、高里に対する人間たちのひどい行動も、なんかしゃあないなと。もちろん高里(泰麒)が悪いわけではなくて、異世界のシステムがおかしいんだと……なんでそんな思い込み激しい護衛つけるんだよとかそもそもなんだよ胎果ってとか。怪しい高校生とかマスコミとか、「相手が高里でなくてもこうだろうな」という人々の行動は確かにおぞましいのですが、それに勝ってなんつう迷惑だと思ってしまいました。よくおかんに殺されなかったな。
だって、この子のために高里家は崩壊、何の罪もない高校生も多数死傷(彼らにも家族がいると思うんですけど)、最後なんか水害でいっぱい死んで。で、「ごっめーん、ぼく戻らなきゃ!」って言われてもなぁ。高里家に関しては、えらい冷たいお母さんだな、と私も広瀬と一緒に憤りましたが、あとになってお母さんの気持ちが少し描かれています。ほんの少しさし挟まれているシーンで、くどくどした説明はありませんが、このあたりがとてもうまいなと思いました。一方から見ればただの冷たい母親ですが、母親の方からみればもういたしかたない態度なわけです。お父さんは家のことかまってなさそうだし、絶対苦労している。
つまるところ、こちらの世界と向こうの世界ではロジックが違うわけで、怪談ぽく感じるのはここなのかも。理由や理屈はなく、たたりですらなく、わけわからんけどひどい目に合う。高里側も周辺の人々側もラスト付近まではつらいのですが、高里に「き」の記憶が戻ってからは、「じゃあ、高里くんがひどい目にあうのも、周りがひどい目にあうのも、まぁしょうがないか」となってかえって救われたというか、暗い気分にならなくてよかったです。これ、説明が難しいのですが、自分と異なる存在なら排除しても良い、ということではないんです。ただ、自分の中で、フィクションであるこの作品についてはそういうふうにオチがついた、ということです。読者は本を閉じればこちらの世界に戻ってこないといけませんからね。
なんだかケチつけてるみたいですが、間違いなく面白かったです。とにかく次が気になってどんどん読み進められました。
多分、本編とは少し毛色が違うんだろうなとは思いますが、あとになって「ああ、そういうことだったのか」というのがわかってくるのでしょう。
逆に言うと、これを読んだだけでは、人間界に異世界の存在が混じりこむことがあって、異世界の力が干渉してくるととんでもない災厄が起こるということ以外あんまりよくわからない。まさしく序章ですね。
これがエピソードゼロということで、本編はここから。続けて読んでみます。
ねえさんありがとうございました。



