12弦ギター | マノンのMUSIC LIFE

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だいぶ前の話になりますが、初めて12弦ギターを買いました。

12弦

その存在はみなさんご存じとは思いますが、実際どういう構造なのかはあまりご存じないのでは?
あたしも買ってみるまでは、その使い方・効果含めちゃんとわかってはいませんでした。

一般的な6弦のフォークギターの場合、高い方の1,2弦が「プレーン」と呼ばれるむき出しのスチール弦、3~6弦はスチールの周りにぐるぐるとらせん状に巻線を巻いた「ワウンド」と呼ばれる弦が張ってあります。

これが12弦になると6コース×2の形になるわけですが、マンドリンに代表される複弦の弦楽器のように同じ弦を2本ずつ張る…のではなかったのです。

弦

1,2コースは同じ太さのスチール弦を2本ずつ張るマンドリン方式ですが、3~5コースはプレーンとワウンドのペア、6コースだけは太さの違うワウンドのペアを1オクターブ差でチューニングします。
これを普通に弾くと、1,2コースは微妙なデチューン感のある、エフェクターで言えばコーラスを掛けたようなシャランシャランな音になり、3~6コースは自動でオクターブ奏法になるわけです。
ピッキングの加減で1本だけ鳴らすということもできなくはないけど、早いパッセージは弾けませんね。
スタンダードチューニングだと、一番高い音を出せるのは3コースのプレーン弦、という変態な状況になりますね。

で、このオクターブ弦を張る順番も重要で、普通に考えれば太い弦を上に張るんでしょうが、細い方を上に張るのがスタンダードなんですね。
おそらくは太い弦が上だと、一瞬先に太い音が出てしまうので、オクターブの効果を強調するための工夫なのでしょう。
フレーズの頭はほとんど上から弾き下ろすダウンピッキングでしょうから。

ただしリッケンバッカーのエレキ12弦は、コンパクトなヘッドにするために独特な構造をしているので、太い方を上に張るのがスタンダードとのこと。
ってことは決定的に違うというほどでもないってことなのかな。

リッケン12

リッケンといえば、初期ビートルズのジョージ・ハリスンやバーズのロジャー・マッギンが、特徴的な音を演出して12弦をメジャーにした代表みたいなものですね。

THE BYRDS - Eight Miles high


このギターは「あまちゃん」で有名になった市にあるギターショップの通販で買ったのですが、オーナー自身も12弦マニアとかで、ナットの溝を削って弦高を低くする加工がしてあります。
通常よりは弾きやすいんでしょうが、12弦は初めてということもあり、6弦とは違った押弦の感覚に慣れるのにはちょっと弾き込みが必要でした。

弾き方にもよるでしょうが、オクターブ弦でローポジションを単音弾きすると、ブリティッシュトラッドな感覚があっていいですね。
高音弦のシャラシャラした感じは、初期ジェネシスで多用されたようなフォーク・プログレ的な繊細な味わいがあります。

てなこともあり、新たに始動したアコギ+マンドリン+トラッド+アコベース+フレームドラムという民族音楽プロジェクトでこの12弦を使うことにしました。
曲はありモノでも、単なるコピーとはちょっと違って、ヴォイシングとかも自分で考えてアレンジしているので面白いです。

こちらは休憩中のひとこま。普通のドラムセットは使わないのです。
ドラム

それではアコースティック12弦を使った名曲をいくつか聴いてもらいましょう。

LEADBELLY - The Gallows Pole


レッドベリーという名前は、ニルヴァーナがMTVライブでカバーしていた曲でしか知りませんでしたが、1940年代あたりにニューヨークで12弦を多用したフォーク、ブルースで活躍した黒人ミュージシャンとのこと。
殺人や未遂などで何度も刑務所に入ってて、音楽がなければ単なる人殺し、という極端な人らしい。
この曲はツェッペリンの3枚目に入ってるものの元歌のトラッドソングですが、かなり回転数の早いピッキングのせいかバンジョーみたいにも聴こえますね。

DAVID BOWIE - Space Oddity (1970)


ロックのフィールドでアコースティックの12弦を使っていたのは、なんといってもグラム期のボウイ、見た目にもインパクトがありました。
これはまだブレイク前の長髪時代ですが、なにかの賞を受賞した際のパフォーマンス。

KISS - Hard Luck Woman (1976)


これオフィシャルのPVなのか不明ですが、ポールのダブルネックをエースが2人羽織の体勢で後ろから弾くという奇矯なことをやってますねぇ。
歓声をわざとらしく加えてますが、音はライブで録ってるわけじゃなくレコードの音源ですが、アコギが最低4本入っているように聴こえます。全部12弦かも。

① 左チャンネル:イントロを一人で弾き始めた後はコードプレイが主
② 右チャンネル:高音2コースをずっと弾き続けてる
③ センター方向:低音で歌に合いの手を入れたり、サビ前に高音のきれいなフィルを入れる
④ センター方向:サビを補強するようなプレイ

ピーター・クリスのロッド・スチュアートばりのハスキーボイスにも驚きましたが、曲自体もいつもの路線とは違うメロウなバラードで「Maggie Mayよりいいんじゃいない?」って。
今でこそメタルでもアンプラグドなんて当たり前にやりますが、当時はハードロックバンドがこんな曲やると軟弱と批判されかねない時代でしたから、ギャップ萌えもあり。

今回はアコギのアンサンブルが素晴らしいこの曲に「12弦アコースティック大賞」を差し上げましょう。

みなさんもあたしの知らない12弦の名曲をご存じだったら教えてくださいね。


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