昔、韓国人と民族の誇りを賭けて喧嘩し、叫ばれたことがある。
「納豆の粒をひきわってしまって、貴方、それでも日本人ですか!!」
小粒納豆が好きでしょうがない韓国人から、納豆はひきわりのほうが好きだと話したところ、お前のやっていることは日の丸をひきわるが如しというレベルの剣幕で怒られた。
小粒納豆の何が、あの人をそこまで魅了したのか分からないが、向こうの大学を卒業して学生時代から結婚し、さらに学びたいがために日本の大学に夫婦共々やってきたけど、奨学金かなんかでは足りないので、生活費のためにここにきましたという倉庫整理のバイト仲間で十以上も年上の人から言われてしまって、当時進学先も決まって2月から授業事態がないので遊ぶ金でも稼ぐかと毎日働いてた高校生の身では、人間的にも言い訳が立たず、それ以上抗弁する気分にもなれなかったのは若さゆえか。
話をひきわり納豆の話に戻そう。
それでもいまだに納豆はひきわりのほうが好きである。好きな理由は味だと思う。どんな味かと言われれば個人的には「鉄っぽい」と表現している。お前は鉄を食ったことがあるのかと言われそうだが、いや、ないんだが、確実のあの「鉄の味」のするひきわりのほうが好きだ。
元々両親が東北人で、ひきわりに馴染みが深いということもあるだろう。なぜなら全国でのひきわり納豆の販売率は7~8%だが、東北は40%前後となるとのこと。また、納豆で有名なのは茨城県水戸であるが、そもそも納豆の発祥は母親の故郷秋田県であるとのことで、いかに納豆文化かつひきわり文化のDNAを持っていることが分かってもらえただろうか。
しかし、やはり、前述のように、ひきわりは全国的にはマイノリティである。東京で暮らしているとひきわり納豆の扱い銘柄はせいぜい2種類。それもNBかPBかぐらいの違いである。秋田のヤマダフーズが販売する商品だけでも、ひきわりはおろか、さらに細かい「きざみ」、粒を半分に割っただけの「つぶわり」などもあるというのに。
そんな現状でも一つだけ利点がある。「売れ残って割引になりやすい」。もう3割は当たり前、時には半額になってることもあり、「買います買います、シール付いてるやつ全部買います」となる。ちなみに納豆は保存食ではなく、生鮮食料品、早めに食べましょう。
そんなひきわり納豆好きから、この季節おすすめしたいのは「冷やしぶっかけひきわり納豆麺」である。そばでも素麺でも良い。南岩手DNAも持つ身としては「吉田製麺 卵麺」を激推すが、それは別の話に譲るとして、冷たく冷やした麺に同じく冷やしためんつゆをぶっかけ、それにひきわり納豆と薬味を混ぜ合わせる。
ひきわりは細かい分、粘る部分が多くなる。それをつゆに溶かし込むとつゆが粘度を持ち、実に麺と絡みやすくなる。粒自体も細かいため、これも麺と絡みやすい。
ぞぞっとすすって、麺とつゆと納豆の濃厚なハーモニーを味わって頂きたい。