前は、こんなふうに。
見えないだろうけど、
こんなふうに、両の腕で、ね?
ぎゅっと、
抱き締めたりもしたのになぁって。
今ではその身体をいたわりながら、
そっと触れるだけの関係になってしまった。
隣で一緒にゴロンとしながら、
ゴロゴロと鳴る喉の音を聴きながら、
想い出を寂しく思った。
病気の今と、
元気な過去を比べてしまうから。
まぁ、もともと。
彼女はあまり、
ベタベタと触れられるが好ましくなく、
不機嫌そうな顔には構わずに、
一方的にデレデレと構ったままで、
ワシャワシャとしていようものならば、
勢いよくガブリ!
と、制裁が飛んできたもので。
当たり前の自業自得なんだけど、
それで今度は、
私まで不機嫌になったりして。
そんなふうに、よく喧嘩した。
果たして「仲良し」だろうか、今は。
久々の時間を超えて、
できるだけ会いに行く機会を作り、
それは仲直りとも違う行為で。
守るように触れる指先に
まだある確かな温もりを感じると、
逆に守られているような気がするくらい
小さな動物が持つ大きな癒しを改めて知る。
猫っていいなぁ。
可愛い。とても。
傷だらけの愛してる。