自分の黒歴史を晒してみる20170407 | 元鉢巻きのサバティエンヌが今後もしかしたら本格的にボディビルダーを目指すかも知れないブログ

元鉢巻きのサバティエンヌが今後もしかしたら本格的にボディビルダーを目指すかも知れないブログ

訳あって現在は非活動的な日々を送っているかつて鉢巻きのサバティエンヌだった者がいずれ元気になって何事かをなさんとの思いを胸に抱きつつなんとなくその時々の出来事などを記すブログ

最近の当家では、
『マンガで分かる心療内科』なる漫画を、
買って読んだりしております。
精神や心理についての医学的、科学的な話を、
分かりやすく解説している漫画です。
そういう漫画なので、心理テストがちょくちょく出てきます。
「白い紙に木を1本描いてください」みたいなものですね。
それら心理テストの中に、
「『シンデレラ』の続きを考えてください」というものがありました。
ワタクシは、昔、
星新一さんの「シンデレラ王妃の幸福な人生」なる、
『シンデレラ』の続きを考えたというような作品を、
読んだことがありましたので、
ついついそれに引っぱられた内容の、
『シンデレラ』の続きを考えてしまったのですが、
そこで思い出したのが、
中学生のころに考えた、
「もし『シンデレラ』から魔法を排除したら、
 実際はどういうことが起こっていたのか」という発想から、
自分で書いた「シンデレラ裏話」とでもいうべき短い文章でした。
今から考えると、
中学生でそんなことを考えていたなんて、
どんだけ生まれつきの皮肉屋なんだよ、
という感じなのですが、
懐かしいので、思い出せる範囲内でここに書いてしまいます。

まずシンデレラの出自。
継母や継姉たちが国王主催の舞踏会に行くことができている以上、
シンデレラが生まれ育った家がまったくの庶民であるはずがありません。
私はシンデレラの出自を、
爵位貴族ではないけれど、世襲の特権階級である、
「準男爵家」としました。
仮にその家を「シンデレラ家」としましょう。
シンデレラ家の代々当主は、
爵位貴族からは蔑まれ、
特権階級ではない人々からは妬まれる、
中途半端な立場からくるルサンチマンを、
商売に打ち込み、莫大な財をなすことで発散させていました。
シンデレラの表向きの祖父にあたる当時のシンデレラ家当主は、
すでに財力は得ていたので、
次は家柄の面での昇格を望み、
王族や貴族と繋がりを作るための機会を窺っていました。
シンデレラの母親は伯爵家の娘でしたが、
とある旅芸人(吟遊詩人的な?)とちょっと仲良くなりすぎて、
できちゃいました。
結果、旅芸人は街のそばを流れる川の岸に打ち上げられました。
できちゃってる伯爵令嬢の方もなんとかしなくてはいけないので、
ご体裁が保てる程度の結婚相手を必死かつ大急ぎで探したところ、
当時のシンデレラ家当主が飛びついて、
跡取り息子とできちゃってる伯爵令嬢を結婚させました。
そして生まれたのがシンデレラです。
表向きの父や祖父とは遺伝子上の繋がりはありません。
“祖父”は伯爵家との姻戚関係を足がかりに、
家格の昇級を望みましたが、
息子の婚姻から程なく死んでしまったため、
“祖父”の野望は達せられることなく潰えました。
シンデレラ家の当主を継いだ“父”は、
いい人でしたが“祖父”とは違って野心が強い方ではなく、
伯爵家との姻戚関係を利用して何かしようとはしませんでした。
シンデレラの母は自分の結婚が不満で、
鬱憤を晴らすためにシンデレラ家の財産を使って奢侈にふけりました。
“父”は妻から関心を払われない淋しさを紛らわすため、
仕事に打ち込み、
シンデレラ家が経営する会社は業績を大きく伸ばしました。
妻から相手にされていないとはいえ、幼子に罪はないと、
“父”はシンデレラのことを大事にしました。
シンデレラはそんな“父”を愛していたものの、
同時にその覇気のなさを物足りなくも感じていました。
シンデレラは遺伝子上の父から受け継いだのか、
美貌かつ聡明でした。
“父”はシンデレラの聡明さを喜び、
幼いころから会社に連れて行って仕事を見せており、
シンデレラは12~13歳のころから実務にも携わり、
二十歳前にすでに従業員たちから後継者と認められるほど、
充分に仕事を覚え、能力を発揮していました。
母は贅沢な暮らしによる不摂生がたたって、
シンデレラが十代半ばのころに死んでしまいました。
“父”はやはり妻からの無関心が淋しかったのか、
自分を見てくれる人を次の妻にしました。
ただし、世の中そううまい話はないもので、
継母は“父”の財産が目当てで結婚したのです。
ビジネスとして“父”と結婚した継母は、
仕事として“父”が満足する家庭生活は提供しました。
ですから、継母にとっては、財産目当て、ビジネスとしての結婚でしたが、
“父”は最期の何年かは幸せな生活を送ることができました。
愛する“父”を幸せにしてくれたという点において、
シンデレラは継母を認めていました。
妻からの愛に恵まれなかった“父”は、
寿命にも恵まれることなく、
シンデレラが二十歳になる前にこれまた死んでしまいました。
シンデレラ家は、
表向きシンデレラ家の血をひいているシンデレラが、
まだ成年に達していないということで、
暫定的に継母が当主を務めることになりました。
シンデレラ家の会社の経営も継母が引き継ぎましたが、
継母は会社経営には興味がなく、
お金さえ入ってくれば構わなかったので、
会社のことは従業員に任せることにしました。
そんな継母も、家督も財産も自分は暫定的に預かっているに過ぎず、
年数を経てシンデレラが然るべき年齢に達すれば、
シンデレラがすべてを正式に継承することは分かっていたので、
もともと財産目当てで結婚するような人間性の持ち主ではありますし、
シンデレラに対して優しい気持ちになることはできず、
何かと辛く当たりました。

・・・・・・・・・うん。
なんていうか。
もともとの『シンデレラ』って、
このあとからがお話の始まりですよね。
話を始まらせるまでがすでに長ぇ。
でもまあ、もともとの『シンデレラ』がこのあとから始まるのと同じように、
私のシンデレラもここからが本領発揮ですから。

さてさて、表面上は家督も財産も継母に押さえられ、
家庭では虐げられた生活を送るシンデレラ、
しかし、そんなのは継母を欺くための演技に過ぎませんでした。
流石は芸能をものしていた人物から遺伝子を受け継いだだけあって、
シンデレラはとても演技派でした。
シンデレラは幼いころから会社に出入りし、
従業員たちから能力も仕事ぶりも認められています。
継母への対応は従業員が行いましたが、
“父”の死後、実質的に会社を経営していたのはシンデレラでした。
家庭でも、継母はシンデレラにさまざまな家事を行うよう命じましたが、
持ち前の有能さと演技力で、
家庭の使用人たちの人望も得ていたシンデレラは、
実際にはそれらの家事をすべてしていた訳ではなく、
大部分は他の使用人が行い、
使用人たちは継母にはシンデレラが家事をしたと報告していたのです。
継母や継姉たちは、もとより財産目当てなので、
得た財産を使っての娯楽に余念がなく、
ほとんど家に居つかなかったため、
シンデレラが実際は大半の家事をしていないこと、
会社に行って経営者としての仕事をしていたことなど、
気付くことができなかったのです。
シンデレラは、美貌で聡明で有能で演技派で、さらに、
いい人だけど覇気のない“父”を見続けた反動か、
あるいはシンデレラ家に染みついた残存思念にでも感応したのか、
大変な野心家でした。
すでに財をなし、経営する会社の業績も順調、
だとすれば次に目指すのは、当然、「高貴な身分」です。
シンデレラは現在の状況と手持ちのカードから、
最も効率よく「高貴な身分」に達することができる道を考えました。
導き出された結論は、
「自分が王子の妻、やがては王妃になる」ことでした。
シンデレラは周到に準備を進めました。
王子について詳細な調査を行い、
もともと美貌ではある自分を、
より王子の好みに近づけるため、
服装や化粧を工夫し、立ち居振る舞いを練習します。
やがて開かれるであろう、
王子の結婚相手を探すことを目的の一つとした舞踏会に参加するため、
衣装、交通手段などを手配しておきます。
費用は会社の売り上げから自身の給与として受け取ったお金を使います。
舞踏会において、自然で効果的な出会いを演出するため、
ダンスホールを借りて、シミュレイションを繰り返します。
こうして勝負の舞踏会の日が訪れ、
狙いどおりに王子の興味を惹くことに成功したシンデレラは、
王子の自分に対する関心をより強めるために、
宴もたけなわという時に急に会場を去って、
さりげないヒントを残し、
王子に自分を見つけさせて、
王子と結婚しました。
まさにミッションコンプリートです。

これにて私の「シンデレラ裏話」は終わりです。
細かい言葉遣いなどは違っているかも知れませんが、
内容は中学生の時に考えたとおりに思い出せたはずです。
改めてこの歳になってこれを読んでみて、昔も今も私は、
自分の努力で生きる道を切り開く人間、
生きるエネルギーに溢れた人間が好きなんだなあ、
と、感慨を覚えます。
自分にないものに憧れているのかも知れませんね。