『極卵』
仙川 環
株式会社 小学館
2014年9月2日 初版第1刷発行
Book Off OnLine \220-
遺伝子操作で作られた鶏ではなく、交配によって生み出された相州地鶏の卵『極卵』を食べた人が食中毒になり、10人近い死者まで出る事件が発生した。原因はボツリヌス菌の作る毒素によるものと判明するが、鶏を育成していた養鶏場や近隣の養鶏場からも毒素のみならずボツリヌス菌すら検出されなかった。一人の女性ルポライターが事件を追う。
食中毒は、卵を産んでいた相州地鶏の中に遺伝子組み換えにより、ボツリヌス菌耐性の遺伝子を組み込まれた遺伝子組み換え地鶏が入っていたことによるものだった。遺伝子組み換えの際に、変異が生じて、人体に有害性のボツリヌス毒素を産生する細胞が生まれ、その鶏が毒素を含んだ卵を産んだことが食中毒の原因だった。遺伝子組み換え食品で利益を得ようとする食品会社、遺伝子組み換え食品や食品添加物に反対する消費者団体、スクープを狙うやり手のルポライターも登場し、週刊誌や新聞記者の思惑が交錯する。
著者は大阪大学の医学系研究科、修士課程卒業のライフサイエンス分野の勉強を修めた専門家である。ある種の菌に耐性を持たせようとした遺伝子組み換えによって、その鶏が自ら毒素を創り出してしまうという顛末が物語のオチなのだが、はっきり言って、話は面白くない。