『百舌(もず)の叫ぶ夜』 逢坂 剛 | OYJ Dimension

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単なる備忘録として。

『百舌(もず)の叫ぶ夜』

逢坂 剛

1987年3月30日 第9刷発行 

株式会社講談社

Book Off \110-

 

 テロ組織と暴力団と警察が絡んだ事件小説。かなり長いお話で、物語の場面が現在と過去を行き来し、登場人物の視点も次々と変わっていくので、前半はとても読みにくい。後半は物語の筋が固まって来るので、ぐいぐい読めるようになる。筧(ルポライターで左翼系セクトのメンバー)が都心で爆死する。鞄に時限爆弾を仕掛けられたらしい。刑事(倉木)の妻が巻き添えで死亡した。倉木は妻が関係する事件と言うことで、捜査から外されるが、個人的に執念深く爆破事件を捜査していく。倉木の捜査がこの小説の一つの柱である。

 

 一方、暴力団傘下の新谷(しんがい)は、組幹部により、崖から落とされ、強度の記憶喪失となる。自分がなぜ殺害されそうになったのか?その記憶をたどる過程で爆破事件の真相に至る。この流れがもう一つのストーリーの柱となっている。爆破事件は、警察幹部の汚職とある国の大統領の暗殺計画につながっていた。

 

 一週間ほどかけて、合間時間で読み進めたため、集中が途切れがちで、前半は場面展開が多すぎて、それほど面白くは読めなかった。むしろドラマでサクッと見た方が楽しめるかもしれない。