この公園には運動施設や遊具はない。そのためか、一般の公園にはないかつての里山林の面影がある。
残された雑木林。イヌシデ、アカシデ、コナラ、ヤマザクラ、イヌザクラ、ウワミズザクラ、エゴノキ、シラカシ、ケヤキ、シナノキ、エンコウカエデ、オオシマザクラ・・植栽のイロハモミジ、ヤエベニシダレ、トウカエデ、ヒバ、サトザクラヨウコウ
もう30年も前だが、ここでご高齢の方に「昔は川にエゴを放り投げて魚を獲ったよ。」と聞いた。「ほれ、すぐ乞田川(こったがわ)だ。」
この公園に来て乞田川を思いつくことはない。自分の感覚では乞田川は鉄道の高架を迂回、更に住宅街を抜けたかなり先なので、唐突だった。間に鉄道はなく流れが蛇行していたころは、川は実際近かったのだろう。
エゴの実に毒があることは知識として知っていたが、その時はてっきり葉と実の付いた枝ごと放り投げる姿を想像したものだ。後から考えてみれば毒は実の中にあるので、どうもそれだけでは効果は薄そうだ。
エゴの実の毒を使った魚獲りの実際と、今、それほど魚影を見ない気がするので、それだけの魚がいたのか聞いておくべきだった。
林を多摩村の記憶が浮遊している。
現在は護岸が直線的に続く川だが、流れが蛇行する河川敷もあったのだろう。京王線の高架が行く手を遮ることもなかった。公園の林が切れるあたりから眺めると距離感が実感できる。
クマザサの群落を縫う小径。
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