参考エントリー
大韓帝国期のキリスト教(二)

写経屋の覚書-なのは「画像は前回であげているから、テキストの続きに行くね」

而も彼等の監理下にある韓人の牧師、伝道師中却て之を悦はさるものあり米国長老派か私立学校令に依りて認可を受くへきことを決せるや即ち曰く我等基督教徒は治外法権を有す何を喜んてか日本人の手に依りて作られたる法令の支配を受くることを敢てなさんや長老派にして若し私立学校令の支配下に立つに於ては我等は須らく去りて監理教の下に走るべし聖公会派に投せんと放言して頻りに反対を唱えたりしか各宗派宣教師の態度殆んと同一に以て其総て私立学校令に依り認可を受くるに至るを見るや其反対も無容に終りたり斯くして宗教学校も学部に統一せられたるも若し之に反して私立学校令の精神徹底せす基督教宣教師設立の学校にして此支配の外に立たんか韓国私立学校は殆んと悉く宣教師の下に走り私立学校令は所謂空文徒法に過きさるべし予は基督教宣教師が進んて其設立の認可を受くるに至りし一事の教育行政上甚た慶賀すへき事柄なりと信す

写経屋の覚書-なのは「赤字部分に注目してね♪」

写経屋の覚書-フェイト「えーっと、韓国人の宣教師や信徒が私立学校令に応じることに反対したってことかな?ここでもキリスト教徒は治外法権があるなんて言っているんだ…」

写経屋の覚書-はやて「つか、私立学校令を受け入れるなら他教派へ鞍替えするって、信仰っちゅうもんを何やと思ってるんやろ?って多分愚問やわなw」

写経屋の覚書-なのは「今回の参考エントリー大韓帝国期のキリスト教(二)でもふれられているとおりだよ。あとアービン(二)にも何点か言及があるね」

一昨年の7月24日のエントリーでは「教師たる身分上、官庁に召喚せらるる義務なし」。
同じく一昨年の8月6日のエントリーでは「韓民にして我教徒たるものは我教会の保護に依り、濫りに官憲制肘を受けず、生命財産の安固を保障し、且つ已往の罪悪と雖ども其罪を逃るを得ん」。
同じく一昨年の10月20日のエントリーでは「教徒は納税の義務なし。又本年度結税は金12円なるも、実際金8円を納付せば可なり。若納税の義務を免れんと欲せば、速に耶蘇教に入教するに如かず。」。
昨年の1月10日のエントリーでは「外国の圧迫を免るるには耶蘇教に入るの外、道なし」&「耶蘇教徒は、官憲の干渉を受くることなし」。

プロテスタント系宣教師の様々な名言の中に、また一つ。


耶蘇信徒は韓国政府の支配を受けず

結局、アービンの話よりこっちがメインかもと、今思った。(笑)

写経屋の覚書-はやて「…外国人宣教師側も煽っとるんちゃうん…あかんやん」

写経屋の覚書-なのは「実は獄長があげている外にも、何点かおもしろい史料はあるんだよね♪まず明治42(隆煕3・1909)年5月17日付『機受第1386号 鎮南浦理事官提出機密月報抜粋』から」

一、韓国官民の帝国政府及人民に対する感情其の他類似事項
 (中略)耶蘇教徒就中長老派に属する教徒は兎角排日思想を鼓吹するの聞あり未た具体的に其の事実を指摘する場合に至らすと雖も新税を徴収して韓国を亡ほさんとする者は日本人なり日米戦争は遠からす開始せらるへし貧小なる日本は米国に勝ち得へくもあらす等の流言は彼等の内より喧伝せらるゝか如くにして未た世界の大勢に通せさる韓人をして流言を信し危惧の念を抱かしむることなきにあらす其の行動に就ては常に観察を怠らす居候

写経屋の覚書-なのは「次は明治42(隆煕3・1909)年4月分の『清津理事官機密警察月報抜粋』」

一、外国官民の帝国政府及臣民に対する感情其の他類似の事項
  当管内には外国官憲なく清津、鏡城、羅南、雄基等に散在せる清国人の多数は労働者にして帝国政府及臣民に対し何等悪感情を有せさるのみならす却て帝国官憲及臣民に信頼することは前月報に同し唯茲に特に記すへきは外国宣教師の行動是なり
  久しき以前より城津を本拠として耶蘇教の伝道に従事しつゝある英国人「グレーゼン」宣教師は近来斯教拡布の目的を以て鏡城郡明澗西面新郷洞、漁浪面龍山間洞及美北面院洞地方に各支部を開設して助教師(韓人)を派遣し盛に布教に努めつゝあり而して彼等助教師は説法に際し「耶蘇信徒たらんには信徒としての特権上暴者の虐待就中日本軍隊の圧迫等を免るゝことを得るのみならす文明的の教義に基き生命名誉財産等に関する権利を伸暢し得るか故に専制的政治の法令即ち人道に反する禁制及苛税には服従せさるも差支なし」等の言を弄する趣にして鋭意布教の結果既に前記地方にて百二十余名の信徒を出すに至れり而して是等信徒は何れも無智の愚民にして多少の才識あるものは之を蔑視するの状あるを以て到底発展の望なしと雖も布教の目的を達せんか為め前述の如き不穏等なる言辞を弄する一事は等閑に附し難き儀に付目下大に注意を加えつゝあり

写経屋の覚書-なのは「次は隆煕3(明治42・1909)年11月5日付の『高秘発第349号』と11月6日付の『高秘収第6262号の1』」

高秘発第349号 耶蘇教徒に関する件

慶尚北道にては耶蘇教徒に関し左の風説行動及計画あり
一、現統監は韓国に於ける各派耶蘇教を一団とし韓民へ布教せしむる為め金二万円を下賜せりとの噂あり
二、韓皇帝陛下南巡に際し大邱に教育費として多額の金員を下賜せられたり然るに観察使郡守は之れを配布せす該金を自己の学校に充用し之れを以て宗教学校を閉鎖せしめんとせりと韓人牧師間に誤伝せられ先般七八名の牧師会合し反対決議をなし其趣在京城の同輩に移ママし其者等をして学部内部へ運動せしむる計画なりと聞く
三、比安郡に於ける教徒は十面に渉り人員二百八十余人あり然るに此等は稍もすれは面洞長に反抗し其命に服せさること屡々あり又負担すへき公費さへも之れを拒絶し義務を履行せさる向あり為めに面洞長より駐在所に之れか願出を為す場合等あるを以て大邱警察署は宣教師に面会したるに米国人安牧使及仏国人金保縁の両名は意外に胸襟を披き曰く本教会より学校を設置しある地方に於て他の私立学校の経費を強制的に徴収せんとする傾向ある為め教徒は苦情を申出て学部或は当理事庁に事情を開陳し該徴収を免れたることあるの外官公吏の関係事務に干渉を試みたる事あらす常に国法を遵奉し官憲の命に従ふは神の命に従ふに均しと伝道せりと云ふ要するに宣教師の使嗾にあらさること判明せり
右及通報候也
                       隆煕三年十一月五日
                                 内部警務局長 松井 茂
             統監府 総務長官事務取扱 石塚 英蔵 殿 


高秘発第349号 耶蘇教徒に関する件

咸鏡北道鏡城郡に於ける耶蘇教徒納税に関し暴行せし件咸鏡北道警察部長より左の詳報あり
一、鏡城郡西面新郷洞に於ける耶蘇教徒相一致し煙草耕作税、酒造税を相当手続を為さす公然之れを行ひ居るに付巡査山下常蔵の説諭に対し暴行を加へたる件に付鏡城警察署長は鏡城財務官佐野林太郎と共に同地へ出張取調をなしたり
二、昨年十二月十日城津本部教会より布教の為め西面新郷洞に支会を設け排日的行動を取り洞内五十八戸の洞民は同地鄭周封、金漢国、文錫圭等の為めに勧誘せられ耶蘇信徒となりたり其勧誘方法として
 (イ)耶蘇信徒は神の力により心身上偉大なる快楽を受くるか故に無病長寿の幸福を得ること
 (ロ)同信徒は文明的に基く教養を受くるか故に啻に世界列強の大勢に通暁するのみならす生命名誉財産等を安固にすへき権利を主張するの智識を収むることを得且つ信徒たるの特権あるか故に日本官吏及軍隊の圧迫を免るゝことを得ること
 (ハ)同信徒は生命名誉財産等の権利を伸暢し得るか故に専制的政治の法令即ち人道に反する禁制及苛税には服従せさるも差支なきことを以てせり

三、以上により信徒たるものは第一政府への納税は地租以外に上納せさるも差支なく今般発布の家屋税、酒造税、煙草税の如きは日本官吏か圧政的に徴収するものなるか故に城津本教会牧師「グレーゾン」及魯牧師の命令あらさる限りは決して上納せさるも差支なく日本官吏及軍隊と雖とも吾信徒の邸宅に一歩も入るゝこと能はすとし鏡城財務署より吏員出張該烟草耕作地検査を為すも之を排斥して納税の義務なしとし酒税煙草税に対する成規の手続をなさす之を公行し居るの状態なり従て各面に於ても耶蘇教信徒に対し三税を免除せらるゝに於ては悉く耶蘇教に入教する旨揚言し既に免許申請したるもの迄へも波及せんとするの状況なりし
四、茲に於て鏡城警察署長及ひ財務官立会の上取調たるに目下左の脱税者を発見せり
   煙草税脱税者 二十一名
   酒造税脱税者 二十六名
  さりしにより之れに対しては其場に於て免許の申請を履行せしめ夫々免許状を交付したる上徴税をなせり

五、而して暴動をなしたるものゝ内判明せる金漢国外十二名を逮捕し且つ暴行証拠品として十字架耶蘇旗其他の器具を押収せり然して検挙せるものは去る二十日之れを鏡城支部検事へ送致し未検挙の者に対しては十月二十二日同支部検事中川一に同行検挙手続中なり
右及通報候也
                       隆煕三年十一月六日
                                 内部警務局長 松井 茂
             統監府 総務長官事務取扱 石塚 英蔵 殿 

写経屋の覚書-フェイト「信徒の脱税、公費負担拒否なんてのもやってるんだね。5月16日のエントリーでは測量を煽っていたけど、こっちのほうが性質が悪いよね…『高秘収第6262号の1』のほうは『清津理事官機密警察月報抜粋』で触れられていた事態が進行して起こった事件みたいだね。『グレーソン』は『グレーゼン』のことでしょうし」

写経屋の覚書-はやて「つか、暴動やった連中の逮捕送検は当然やろけど、脱税者には煙草耕作・酒造の免許の交付申請をさせてその場で免許交付したうえに税を徴収してお咎めなしって、どんだけ甘いねんw ほんで観察使や郡守のような行政側でもええ加減なことしとるように書いとるけど、誤伝だけやのうてほんまに不公平な経費徴収とかもしてたみたいやな」

写経屋の覚書-なのは「あ、行政側と宣教師の反目についてはこんなのがあるんだ」


高秘発第6517号の3 郡守・宣教師反目の件

 忠清北道鎮川邑在留英国宣教師金宇逸は同郡守朴初陽と相反目せる聞有之調査するに
一、郡守は本月二日鎮川郡広恵院私立学校維持費として万升面民に寄附金の募集を為し又学生に対し断髪及黒衣を着する様奨励をなしたるに宣教師は信徒に対し韓国従来の習慣風俗を改むるは不可なり郡守の訓示は不法なりなと反対演説を為したるに由り今尚実行する能はす
一、本年十月郡守は宣教師の私立宣明学校に臨み教科書を検閲し且つ生徒に対し勅令の旨趣に基き断髪及黒衣を着することを訓示したるに宣教師は之に対し大に激昂し郡衙に来り郡守に対し我学生に断髪黒衣をママ励するは不法なり韓国従来の習慣を改めむるは大に不可なり信明学校は自分か自由に教授するを以て郡守の干渉を要せす等激論し郡守は監督は勿論生徒に対し断髪黒衣を奨励するに教育の発展及風俗の改善に必要にして決して不法行為にあらす郡守当然の職務なり善良の風俗を勧誘奨励するに何の不可かあらんと反したるに宣教師は答弁に苦み韓国従来の風俗を改むるの必要なしと主張したりと云ふ
右及通報候也
                       隆煕三年十二月九日
                                 内部警務局長 松井 茂
             統監府 総務長官事務取扱 石塚 英蔵 殿

写経屋の覚書-フェイト「『勅令の旨趣に基き断髪及黒衣を着すること』って断髪令のこと…じゃないよね?」

写経屋の覚書-はやて私立学校令頒布に関する訓令(5)で見た訓令で『私立学校にして学生に断髪の必要を勧諭するは敢て不可なしと雖之を強制して就学上の疑惧を買ひ又衣服を清潔ならしむるを注意するは嘉すへきことなりと雖服制を一定して無用の消費を増加せしめ』って言うとるように無理したらあかんようんに言うとるんけどなぁ。せやけど、宣教師側が理由をつけて、学校に対する官吏の指導干渉を排除しようとしとるようにも読めるんけどな」

写経屋の覚書-なのは「そうだね。ここで触れたほか、救世軍に関してはまとめてみるとかなりおもしろくなるから、また別のエントリーで紹介するね。次回からはテキストの続きをちょっとお休みして、2月8日の俵と宣教師の会見について以下のエントリーで触れている箇所を見てみるから、予習しておいてね」

私立学校令等について(四)


  俵学部次官演説要領(明治43年7月)(1)   俵学部次官演説要領(明治43年7月)(2)
  俵学部次官演説要領(明治43年7月)(3)   俵学部次官演説要領(明治43年7月)(4)
  俵学部次官演説要領(明治43年7月)(5)   俵学部次官演説要領(明治43年7月)(6)
  俵学部次官演説要領(明治43年7月)(7)   俵学部次官演説要領(明治43年7月)(8)
  俵学部次官演説要領(明治43年7月)(9)
参考エントリー
私立学校令等について(三)
私立学校令等について(四)
私立学校令等について(五)

写経屋の覚書-なのは「みんな、予習はしてくれたかな?」

写経屋の覚書-フェイト「なんとか読んでみたけど、分量が多かったよ…」

写経屋の覚書-なのは「じゃぁ、いつもどおりテキストを区切りながら見ていくね」

写経屋の覚書-明治43年7月13日俵訓示_39
写経屋の覚書-明治43年7月13日俵訓示_40
写経屋の覚書-明治43年7月13日俵訓示_41
写経屋の覚書-明治43年7月13日俵訓示_42
写経屋の覚書-明治43年7月13日俵訓示_43

    丙 学部の施設に対する誤解
     一、私立学校令に対するもの
私立学校令頒布の要旨前述の如し而して該令の頒布せられるゝや種々の誤解続出して学部は本令を以て私立学校を撲滅するものなりとの蜚語を放ち盛に世上の疑惑を生し本令施行上著しき妨碍を来すの傾向を生したるを以て学部はあらゆる手段方法を講して其妄を弁し其誤を正し力を尽して之か誤解を釈くに努めたり若し彼等の誤解を釈かされば私立学校令は唯空文徒法となるのみならす私立学校の多くは外国宣教師の管理の下に走るに至るを虞れたり何となれは外国人は韓国に於て治外法権を有す随て外国宣教師の設立に係る学校は当然韓国法令たる私立学校令に服従するの義務あるなし故に韓国法令の下に検束せられて撲滅の悲運を見んよりは寧ろ基督教学校として自由なる範囲に活動すへしとは私立学校の総てか期せすして一致すへき径路たるへけんばなり

写経屋の覚書-はやて「…治外法権って無敵の呪文やと思てへんか?」

茲に於て予は私立学校令頒布の精神を闡明して学部は決して私立学校の存在を妨くるものにあらず善良なる私立学校は喜んで之を迎へ補翼誘掖以て善良なる方向に指導するの意を弁し進んでは基督教宣教師に向つて其設立又は管理下ににある私立学校は其目的苟も韓国人子弟を教育し均しく韓国の開発にあるに於ては私立学校令の適用を受くるに何等躊躇する理由なかるべく寧ろ進んて政府の援助を得便宜を求めんとするには必ず私立学校令に依り其認可を受け其存在の承認を受けさるべからず畢竟私立学校令に依りて其設立の認可を受くることは何れの方面より見ても便宜尠からさるを説き予は数回宣教師と会見を重ね懇ろに学部当局の意を伝へ彼等は快く其意を諒し各派を通して悉く学部大臣の認可を受くるに至りたるは韓国教育の統一上至幸と謂ふへし

写経屋の覚書-フェイト「宣教師との会見っていうのが、参考エントリーの私立学校令等について(三)私立学校令等について(四)私立学校令等について(五)にある隆煕3(明治42・1909)年2月8日の会見なんだね」

写経屋の覚書-なのは「うん。それで宣教師たちの理解と協力は得られたみたいだね。宣教師側ではこの会見のあと、私立学校令等について(五)であげている『警秘第412号の2』にあるように、私立学校令に従って学校を運営していくことを決定するんだけど、その経過について触れている別の史料もあるんだよ。隆煕3(明治42・1909)年2月14日の協議結果を報告している2月16日付の憲機第360号『青年学校に関する学部の監督を主題に在京城韓美基督教人との協議事項報告』なの」

 城内耶蘇宣教師、牧師及学生等韓米人合して約百七八十名十四日午後七時より鐘路耶蘇青年会館に集会し役二時間に亘り城内耶蘇教会堂附属の左記四学校学部の監督を受くるの可否に就て協議せし由なるか結局同部の監督を受けさることに可決せりと反対の要は東部蓮洞学校教師米人奇一なる者の主張に学部か韓人管理而已なれは其指揮監督を受くる差支なきも同部は日人官吏其主催なるを以て結局日人の指揮監督を受くる訳となり甚た不都合なりとの理由にありと
                      明治四十二年二月十六日
                        青年学校 鐘路
                        美以美学校 東小門内
                        長老教学校 蓮洞
                        監理教学校 尚洞

写経屋の覚書-はやて「この時点では各教派1校ずつが反対しとるんやね。で、最終的には基督教青年会が主管する学校だけが学部の認可を受けへんということになるんかな?」

写経屋の覚書-なのは「そういうことだと考えるよ。『米人奇一』というのは長老派のゲール(I.S.Gale)で、私立学校做新小学校、私立学校貞信女学校、私立学校貞信女子小学校の設立者なの。この3校は全部蓮洞の長老派教会と同じ敷地内にあるから、どれかが『憲機第360号』に出てくる『蓮洞学校』にあたるのかもしれないね。俵孫一学部次官の隆煕4(明治43・1910)年2月26日の視察報告によると、做新小学校と貞信女子小学校は隆煕3年8月に学部の認可を受けてるみたいだけど」

写経屋の覚書-フェイト「結局、ゲールさんも学部の監督を受け入れたってことなんだろうね」

写経屋の覚書-なのは「そうだろうね。で、話を戻すと、この会見以前にも協議と言うか説明はやってるみたいなの。統監府文書にこんなのがあったよ」

機密第468号
外国人宗教団体が設立する学校に韓国私立学校令適用問題に関する件

 曩に韓国政府に於て私立学校令制定の議ありし際在韓外国新教伝道会教育委員等は外国伝道会の設立に係る私立学校に関し意見を交換し度しとの希望を以て統監に会見を申出て客年四月中曾禰副統監は其の需に応し右教育委員長「モヘツト」以下数名を引見し英国総領事をも代表して列席したる米国総領事並に学部次官代理と共に会議相成候処結局委員等の希望は内外私立学校間に差別を置かすして均等の取扱を為され度元来外国伝道会か韓人教育に従事する目的は能く政令に服従する良民を養成せんとするに外ならされは其の設立に係る学校も韓国法規の適用を受くへしと云ふに在り学部に於ても学政の統一を計るため内外私立学校一般に同一規程をママ守するを便宜と認めたるのみならす外国人設立の学校にして韓国の私立学校と同様なる程度に在るものは其の間に差別を為さゝるの方針なるを以て副統監は委員等の希望を容るゝは毫も支障なかるへく且又宗教及教育の如き公共事業に在りては内外人一致協力して其の進捗を図るへき事由を説示せられ委員等も至極満足の意を表して引取りたり次て客年八月中私立学校令私立学校補助規ママ等発布せられたる以来統監府学部及外国総領事間に於て交渉を重ねたる結果基督教伝道会の設立に係る学校も大抵右等の法規を遵奉することゝ相成候従来韓国人の基督教学校に在るものは宛かも韓国政府の制裁を免かれたるか如き想を為し韓国の法規に服従するは其の希望せさりし所なるに拘らす外国宣教師等か其の韓人信徒間に反対あるを顧みすして進んて這般の挙に出たるは近頃彼等の言明するか如く帝国の保護政策の真意を了解したる一端とも見るへく斯くて今日まて外国人の監督に属したる学校を韓国法規の下に統一することゝなり啻に教育のみならす一般の政策上漸次好結果を収むるを得へしと致思料候仍て貴官は前顕の趣旨を諒し私立学校に対しては内外の差別なく同一の保護及便宜を与へらるゝは勿論国情を異にする当国に於て学校を経営する外国人中或は意思の疎通を欠き誤解を来すことなきを保せさるのみならす現に教会堂及其の附属学校の敷地等に就き往々困難を感するものも有之趣に付右等の取扱に就ては特に寛大の措置を執らるゝ様致度依命申進候也
                           明治四十二年三月二十六日
                                       石塚長官代理
    各理事官宛
 追而韓国地方官に対しては内部より夫々訓令を発し候筈に有之候条御心得迄申添候

写経屋の覚書-フェイト「客年というと隆煕2(明治41・1908)年だね。私立学校令は隆煕2年8月26日の発布だから、発布前にも説明していたんだね」

写経屋の覚書-はやて「モヘツトは会談に出てくるモフエットのことやな。せやのに参考エントリーにあるように1年後の2月にもまた会談しとんねんなぁ…」

写経屋の覚書-なのは「うん。今回は別史料が入って長くなったからここまでにして、テキストの続きは次回にするね。それと、このエントリーも予習しておいてね」

大韓帝国期のキリスト教(二)


  俵学部次官演説要領(明治43年7月)(1)   俵学部次官演説要領(明治43年7月)(2)
  俵学部次官演説要領(明治43年7月)(3)   俵学部次官演説要領(明治43年7月)(4)
  俵学部次官演説要領(明治43年7月)(5)   俵学部次官演説要領(明治43年7月)(6)
  俵学部次官演説要領(明治43年7月)(7)   俵学部次官演説要領(明治43年7月)(8)

写経屋の覚書-なのは「今回も小ネタでごめんね。統監府文書を整理中に出てきたものなの」

憲機第836号 京城測量学校出身韓国人の江原道地方民有土地不法測量件(四月十六日附江原道原州分遣所長内報)

 京城測量学校卒業の韓人か当地に来り目下盛に民有土地の測量に従事しつゝあり
聞く所によれは彼等は原州・横成・寧越・旌善の各郡の為めに測量手三十名を配置したりと又彼等は此際測量し置かされは他日日本へ没収せらるへしとの事を無智の良民に吹聴し手数料を収めて測量を為すと注意中
 原州郡に於ては彼等は郡守に対し人民は此際進んて測量を受くる様命令せられ度旨申出てたりと
以上                     明治四十二年四月二十二日

写経屋の覚書-なのは「『京城測量学校』ってのが具体的にどんな学校を指すのかはわかんないの。目賀田種太郎(三)土地調査事業に至るまで(二)で出てきた度支部司税局量地課での技術講習と関係があるのかなぁ…」

写経屋の覚書-フェイト「量地課の実習や韓国政府・統監府の実施してる土地調査事業じゃないよね?」

写経屋の覚書-なのは「うん。この時期に量地課や各地の出張所で実地練習は行われているんだけど、それだったら国有地を使ってるし、土地調査の試行はこの年の11月に京畿道富平郡で行われるから、どちらとも関係ないよ」

写経屋の覚書-フェイト「うーん…この人たちがほんとに『京城測量学校』の卒業生かどうかも怪しくなりそうだよ。というより『京城測量学校』が実在するのかどうかさえ怪しく思えてきたよ…日本に没収されるからって嘘ついて測量して手数料取っているわけだし…」

写経屋の覚書-はやて「なんか地デジ対策詐欺とか消火器販売詐欺とかみたいやで。『京城の測量学校のほうから来ました』みたいなノリで」

写経屋の覚書-なのは「ま、目賀田種太郎(三)にある明治39(1906)年7月12日『韓国施政改善ニ関スル協議会ノ第三回会議録』の度支部大臣閔泳綺の発言に『昨年十月に入学せしめたる生徒の総数も三十名なれども、卒業後未だ学術充分ならざる為め、技師に任用せざるもの十名あり』ってあるから、任用されなかった10名の誰かが関与している可能性もあるといえばあるよね(笑)…それは措くとして韓国地方政況ノ概要(四)に似たような事件が載ってるんだ」

今日で『1.政況/14 韓国地方政況ノ概要(統監府政況報告並雑報)(レファレンスコード:B03041514200)』、1908年(明治41年)12月28日付『機密統■■1769号』もお終い。
気合い入れて(?)いきましょう。

八.東洋拓殖会社に対する状況

東洋拓殖会社の事業は、韓国の土地を買収して日本民を移住するにあるを以て、同会社成立の暁は、韓国の田墾山林は日本人の為占領せらるべしと悲観し、続々日本人移住するときは、益々物価騰貴して生活困難に至るべしと憂慮するが如き、概して之が設立を嫌厭するものの如し。
而して大韓毎日申報購読者の如きは、同紙の煽動的記事を盲信して■猜疑の念を深くし、同会社は韓国の啓発利源の開拓にありとの美名の下に、漸に土地を蚕食し、韓国を併呑せんとするものにして、為めに父祖伝来の財産を奪はれ、国家は滅亡するに至らんと憤慨するものありて、■■臆測、種々の浮説を流布したる為め、地方民中今にして所有権を確定し置くの必要ありと唱へ恐慌するものあり。
或は、自己の所有地なる事を標示するため、標木を立てたる地方あり。
或は、俄に土地を買入るるが如き者ありたりと云ふ。

また噂や煽動との戦い。
大韓毎日申報が、朝日新聞と提携していたかどうかは知らない。(笑)
尤も、この時代のマスコミってのは、程度の差こそあれ、どの国においても似たようなものである。
現代においてすら、でもあるし。

土地に関しては、現実問題として「今にして所有権を確定し置くの必要あり」と有るように、所有権その他土地の権利関係が明確で無かったわけである。
明確で無いが故に後の朝鮮総督府において土地調査事業が行われ、明確で無いが故にゴタゴタが起きる。
っていうか、以前書くと言っていた土地調査事業に、なかなか辿り着かないなぁ・・・。

尚、「俄に土地を買入るる」が、現代韓国で問題化している不動産投機の走りかどうかについては、これまた知らない。(笑)

平安■道の耶蘇教徒は、拓殖会社は日本が韓国を掠奪せんとする謀計なるが故に、此侭に推移せば、韓国民は終に耕すに寸地なきの惨況に陥るを以て、速に測量学校設立の急務なるを唱へ既に学校を創設したるものありて、忽ちにして多数の入学志望者ありしと云ふ。
尚、同地方■■私立学校に至りても、新に測量科を設け授業を開始したるものあり。
近来、各地方とも頓に測量法教習の流行を来し、実地測量に従事するもの頻出するが如き現象を呈せり。

目賀田種太郎の具申による韓国人測量士育成の話から3年。
片や、土地測量において日本人では何かと軋轢があるだろうから、韓国人測量士を養成する。
片や、日本に土地を奪われる前に、韓国人の手で測量を行うために、韓国人測量士を養成する。
んー、見事に食い違っていながら、実は同じ事を言っているような気がするな。
というか、目賀田の睨んだ通りか・・・。


写経屋の覚書-フェイト「…こんなところでも大韓毎日申報やキリスト教徒がやらかしているんだね…」